【ゲイだけど質問ある？】叶わないとわかってたのに…ゲイの片思いがせつなすぎる

28 February 2018

誰にでも
雨は等しく
降るように
あの子は僕の
ものにならない

こんにちは、歌人の鈴掛真です。5・7・5・7・7の短歌の作家です。

本日2月28日は僕の誕生日！
厳しかった冬が終わりに近づいて、春はすぐそこですね。
大学生のみんなにとっては、１カ月以上の長い春休みに入る頃。アルバイトや就活で忙しいけれど、学校の友達に会えなくてちょっぴり寂しい季節でもあります。

この時季になると、僕はいつも、ある恋の記憶を思い出します。それは、夏にお話しした、あのせつない片思いについて。
あれから関係はどうなったのか…冬の終わりに思わぬ展開が待っていました！
今回はその続編をお届けしましょう。

というわけで、連載【ゲイだけど質問ある？】せつなさ５割増しで行ってみよう！

近くて遠い、同性への片思い

それは大学２年生の冬のこと。
僕は変わらず、同級生の男子に想いを馳せていました。

気づけば、一人暮らしの家に招いてもらうほどの仲になっていたけれど、所詮はただの男友達。
彼とそれ以上の関係になることはありませんでした。

けれど、たとえ恋が実らなくても、「僕はゲイで、君のことが好きなんだ」と伝えられなくても、僕は彼のそばにいるだけで充分だと思えました。

いっしょに授業を受けて、休み時間にはいっしょにタバコを吸って、いっしょに昼ご飯を食べて、いっしょにスクールバスで帰る毎日。彼の隣にいるだけで、僕にとってはすべてが特別な時間でした。
「だから、これ以上は何も望まない。今がこんなにも幸せなんだから」
そう思っていたはずだったのだけど＿＿

目をそらしていた自分の本心とは…

いよいよ、長い春休みに入る前日。
教授から、休み中の課題についてや諸注意なんかの話を聞くくらいで、２年生として最終日のカリキュラムは、あっけなく昼前に終わりました。

３年生になったら、僕らは別々のゼミに入ることが決まっていました。
明日からしばらく彼に会えない。春休みが明けたら、今までみたいにいっしょに過ごせないかもしれない。

でも、特別なことは望みません。
僕はただいつものように、今日も二人でスクールバスに乗って、くだらない会話をしながらいっしょに帰りたいと思っていました。

ロッカールームでは「これからどこ行く？」「買い物しに行こうよ！」と、みんな開放的になって思い思いに午後の予定を立てています。
ところが、いつもは自然と落ち合うはずなのに、彼の姿が見当たりません。
どうしたんだろうと校舎の外に出てみると、数人の同級生と並んで帰って行く彼が見えました。

「真ちゃん、ご飯食べに行こうよ！」
別の男友達が僕を呼ぶ声が聞こえます。
きっと彼もこんなふうに誘われて、春休み前の１日を友達と過ごすことになったのでしょう。それはとても自然なこと。大学生のよくある風景。

それなのに、彼が僕の知らない遠いところへ行ってしまったような気がしました。

僕がどんなに彼を特別に思っても、彼にとって僕は、ただの男友達の一人。
彼は僕のものなんかじゃない。僕のものになんてならない。
ぜんぶわかっていたはずなのに、本当は彼を独り占めしたくてたまらない自分に、僕はそのとき気づいてしまったのです。

本当は、彼を自分だけのものにしたいって、欲望が風船のように膨れ上がっていたのに、僕はただ本心から目をそらしているだけでした。
そしてその瞬間に、風船は音を立てて僕の中で弾けました。

僕はそのとき、キャンパスの真ん中に立ちすくみながら、彼への片想いを終わらせることに決めたのでした。

恋が突然、苦しみに変わった瞬間

ただ春休みの前日にいっしょに帰れなかった…きっかけは些細なことだったのだけど、それが最後の藁となって、すべてがにわかに崩れ去りました。
約１年間、全身全霊で彼を好きになって、気づけば僕の心は、自分の知らないところですっかりぼろぼろに疲れきっていたのです。

好きになってはいけない人を好きになるのは、とても苦しいこと。
けれど、あんなにまっすぐに人を好きになれたのは、叶わぬ恋だからこそだったんじゃないかと、今は思います。
大人になるにつれて、他人とか、世間体とか、自分と関わるあらゆるものを気にするようになってしまうけど、あんなふうに、満身創痍で誰かを好きになることは、この先もう無いんじゃないかと思うから。

実は、彼への片想いにはまだ続きがあるのだけど、それはまた別の機会にお話しすることにしましょう。