こんにちは、歌人の鈴掛真です。5・7・5・7・7の短歌の作家です。
今年のアカデミー賞が先日発表されましたね!
作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』などのハリウッド映画が話題を呼んでいる中、今ひっそりと上映されている邦画があります。
それは、『リバーズ・エッジ』。
人気女優の二階堂ふみ、イケメン俳優の吉沢亮がW主演を務めています。
でも、原作は25年も前に雑誌で連載されていたコミックだから、10代、20代の諸君にはピンと来ない作品かもしれないね。
何を隠そうと、この原作コミックこそ、僕の人生のバイブル。
そして10代、20代のみんなにぜひ読んでほしい1冊なんです!
今回はそんな『リバーズ・エッジ 』をご紹介します。
というわけで、連載【ゲイだけど質問ある?】いってみよー!!
漫画家・岡崎京子によって、ファッション雑誌「CUTiE」で1993〜94年に全14話で連載された『リバーズ・エッジ 』。
同じく彼女のコミックが原作で沢尻エリカ主演の映画『ヘルタースケルター』を見たことがある人は多いかもしれないね。
実は彼女、人気絶頂だった1996年、32歳のとき交通事故に遭い、大変な重傷を負ってしまいます。20年以上経った今でも後遺症に悩まされ、新作は事故以来一度も発表されていません。
岡崎京子のコミックは、欲望と孤独感が交錯する若者たちの日常を、おしゃれなイラストと詩的なストーリーで淡々と描いているところが特徴。
音楽やファッションなどで様々なジャンルが誕生した90年代の雰囲気を留める彼女の作品は、今でもサブカル界でカルト的な人気を誇っています。
その中でも、岡崎京子の最高傑作と呼ばれているのが、この度映画化された『リバーズ・エッジ 』なのです!
連載当時は僕もまだ小学生だったので知らなかったのだけど、高校生のときに、年上の友人が「高校生の今だから読んでおくと良いよ」と教えてくれました。初めて読んだときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。
では、ストーリーをちょっぴりご紹介しましょう。
主人公は高校2年生の若草ハルナ。彼氏の観音崎が、同じクラスの山田くんを執拗にいじめていることに頭を抱えています。
山田くんを助けているうちに2人の間に友情が芽生え、ハルナは山田くんからゲイであることを打ち明けられます。
彼氏が本当はゲイだとは知らない山田くんの彼女の田島カンナ、ハルナの友人でありながら観音崎の浮気相手の小山ルミ、山田くんと不思議な絆で結ばれている1年生でモデルの吉川こずえなど、それぞれの想いが複雑に絡み合って、やがてとんでもない事件が……。
『リバーズ・エッジ 』の魅力はなんと言っても、キャラクターの心情が痛いほどリアルに描かれていること。
主人公のハルナは、何事にもフラットで冷静な女の子に思えるけど、実は幼い頃に両親が離婚して以来、感情を閉ざしてしまっていたり、吉川こずえは、きらびやかなモデルの仕事のかたわらで、「世の中みんな キレイぶって ステキぶって 楽しぶってるけど ざけんじゃねえよ」と、人生を悲観していたり。
キャラクターそれぞれが別々の形で、10代特有の虚無感を抱えているんです。
境遇の違う若者たちが、ときに激しく、ときに静かにぶつかり合うストーリーは、読めば誰もがいずれかのキャラクターに共感できるはず!
ゲイである僕はもちろん、山田くんに自分を重ねました。
田島カンナが彼女でありながら、名前も知らない先輩の男子生徒に想いを寄せる山田くん。
気持ちを伝えたくならないのかとハルナが尋ねると、彼はこう答えます。
「ただ、もう そんなことより ぼくは
あの人がいるだけでいいんだ
あの人がいて ぼくがいて あの人を見つめることが出来る それだけでいいんだ」
このセリフを読んだとき、同級生への片想いをまだ消化できていなかった10代の僕は、まるで自分が救われたような気がしました。
きっとみんなにとっても、救いになるようなセリフが見つかるはず。
ぜひ10代、20代のうちに読んでおいてほしいなと思います。
ベルリン国際映画祭へも出品されている実写映画『リバーズ・エッジ 』。
僕も先日、映画館で見てきました!
感想はというと……キャストのビジュアルや衣装、美術、ロケーションなど、原作を忠実に再現していて、長年のファンとしてはかなりテンションの上がる仕上がりでした!
特に、山田くん役の吉沢亮の美しさたるや。
ただ、コミック原作の実写版にありがちなダイジェスト感は否めず、原作を読んでいない人からすると「なんのこっちゃ?」な印象かもしれません。
けれど、セックスシーンにも果敢に挑んでいるキャストの熱演振りはかなりのもの。
主演の2人もヌードを惜しみなく披露しています!
男子諸君にとっては、二階堂ふみの豊満なナマ乳が拝めるだけでも一見の価値あり!!
吉沢亮にいたってはヌードシーンが何度もあるのだけど、華奢なイメージだった山田くん役にしてはしっかり肉体が仕上がってしまっていて、もう少し減量して欲しかったなと思うところ…。
高橋一生との交際報道が話題の森川葵も出演しているので、どんな女優か気になっている人も要チェック!
個人的には、ぜひ原作を読んでから鑑賞することをおすすめします!
色褪せない不朽の名作をぜひチェックしてみてね。
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