「モテたい」という欲求を握りしめ、偏差値76の超難関校「早稲田大学高等学院」に見事合格した僕だったが、とても大事な事を見落としていた。
【松村淳平 連載】第1回:「ビリギャル男!?学年ビリのギャル男が早稲田に現役合格した話。」
男子校だったのだ。
(高校入学当初の松村氏)
青春映画にあるような、少女マンガにあるような、キラキラした学園生活を過ごすはずだったのに・・・。
教室を見渡せば男しかいない。
しかも彼らは全国各地から激しい受験戦争を勝ち抜いてきた本物のガリ勉ばかり。
間違えた。入る高校を完全に間違えた・・・。
もともと僕は男同士のアツい友情が好きなタイプでもあった。
最初こそショックだった男子校という現実にも次第に慣れはじめ、男子ならではのくだらない遊びや、女子の目線など気にしない環境に居心地の良さを感じるようになっていった。
そんな中でも家が近くて帰り道が一緒だった友人がいる。
外見はいかにも普通の男子高校生。
ギャル男だった僕と二人で歩いていると変なペアだったかもしれないが、彼とは帰りの電車でたわいもない話で盛り上がれるような関係だった。
ある日の帰り道、その友人と二人で電車に乗っていた。
夕陽が差し込む総武線。
ガタンゴトンと揺れる車両には僕たち以外に10人ほどが乗っているような状況だっただろうか。
男子高校生らしい下ネタトークが盛り上がってしまい、周囲の人には聞こえないようにコソコソと笑い合っていた。
そして話は自分が「SかMか」という議論に及んだ。
「俺はどっちかって言うとSかな〜!」と僕。
「まじか!俺はどっちかって言うとM!!」と友人。どことなく嬉しそうだった。
僕「えー!Mってどういうことされたいの!?」
友人「なんかさ!いじめられたい!命令されてみたい!!」
友人がヒートアップしてきた。
友人の迫力に押され、僕もトークの勢いを増す。
僕「まじかよ!ウケる!何て命令されたいの!?」
友人「いや!恥ずかしくて言えないよ!!」
恥ずかしそうに赤みを帯びた友人の頬を夕陽が照らしていた。
盛り上がる二人の声は次第に大きくなっていく。
僕「いいじゃん!言ってみ!!」
友人「恥ずかしくて言えないよ!!」
僕「言って言って!お願い!www」
友人「えー!!ちょっ!」
僕「はい!3!2!1!」
友人「『くわえろよ!!』って言われたい!!!」
僕「えっ?」
・・・
他の乗客も驚愕の表情でこちらを見ている。
僕「く、くわえろよ・・・?」
友人「あ・・・あ・・・いや・・・その・・・」
必死に何かを言おうとする友人の口はパクパクと動くだけ。
・・・
焦る友人の顔は、未だかつて見た事がないほど硬直した笑みを浮かべていた。
それを見て、僕も未だかつて見た事がないほど硬直した笑みで友人を見つめ返した。
引きつった表情で微笑み合う男子高校生2人を、夕陽は優しく照らしてくれた。
これが男子校か。
総武線は揺れていた。
■連載アーカイブ
【松村淳平 連載】第1回:「ビリギャル男!?学年ビリのギャル男が早稲田に現役合格した話。」
【松村淳平 連載】第2回:「ビリギャル男が間違えて入った男子校で洗礼を受けた話。」
【松村淳平 連載】第3回:「お前、この半年何かした?」
【松村淳平 連載】第4回:「仕事と恋愛どっちが大事?答えは決まってんだろうが。」
【松村淳平 連載】第5回:「たった一人の彼女を本気で愛せない男はカスである」
【松村淳平 連載】第6回:「若者が丸くなって何が面白い?トガっていけよ!」
【松村淳平 連載】第7回:「24歳イケメンIT社長が100円焼き肉で5万円使った話」
【松村淳平 連載】第8回:ギャル男だったらバイトなんて辞めて社長になれ!
【松村淳平 連載】第9回:注目されずに批判だけする人生か、批判されても注目される人生か。
【松村淳平 連載】第10回:あ、YouTuberはじめました。
■ライタープロフィール
高校2年生の頃にブログ広告枠の販売を行う広告代理店事業を立ち上げ、早稲田大学2年生の時に起業し代表取締役社長に就任。早稲田大学を卒業後、サイバーエージェントより1.3億円の出資を受けて株式会社WAVESTを創業し代表取締役社長に就任。
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