このコラムでは、ふと街中で見かける男子高校生に勝手にパワーを貰い、男子高校生のおかげで生かされているエミチャンカパーナが、日本の国宝である男子高校生に敬意を込め、僭越ながら国宝に登録させていただき、様々な萌えポイント=国宝登録ポイントを妄想と偏見で解説していきます。
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夜20時。駅から住宅街に抜ける暗闇の中に、大きなガタイを揺らしながら歩く影が見える。
熊なのか妖怪なのか人間なのか…
慎重に近づいてみると学ランを着て、エナメルバッグを背負っている人間であることが確認できた。
影の正体は男子高校生。
坊主頭で横幅が広く、全体的にボールの様なフォルムをしている。
彼は所謂『デブ』な部類の男子高校生である。今時のスラッとしたジェンダーレスな体型とは程遠い。
しかし彼はただのだらしの無いデブとは一線を画しており、肩幅も広く、筋肉質。どことなく顔立ちもキリッとしている。
それもそのはず、彼は動けるデブ。
中身がパンパンで半分開いてしまっているエナメルバッグからは柔道着が覗く。列記としたスポーツマンだ。
しかし中学時代の彼は違った。
なんの部活にも所属せず、放課後は毎日コンビニで買い食いと立ち読みが日課の、だらしの無いデブであった。
かと言って特にいじめられていたわけでもなく、マイペースに平々凡々なデブライフを謳歌していた。
高校に入学し、これからもデブライフを突き進もうとぼんやり思っていたが、人生そう上手くもいかない。
そのガタイの良さからたまたま担任になってしまった柔道部の顧問に、半ば強制的に柔道部の体験入部に参加させられ、あれよあれよと気が付いたら柔道部員になっていた。
柔道着どころかエナメルバッグ、授業で使う指定の体操着以外の運動着も初めて買わなければいけない状況になった。
当初は納得が行かなかった彼であるが、反抗するのも体力を使う。なってしまったものは仕方がない。
のんびりしている彼は、それ以来、まあいいか精神でなんとなく柔道を続けている。
そのマイペースな意気込みとは裏腹に、彼はみるみるうちに柔道の腕を上げた。
肉体は大きいまま、気が付いたら筋肉が付き、気が付いたら地区大会上位入賞は当たり前になっていた。
ただ彼の中で気持ち的な変化はなく、今だって部活の練習は面倒だし、本当は放課後はダラダラしていたい。
特に彼が望んだ道では無いが、確実に輝かしい男子高校生活を送っている。
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少年漫画に出てくるヒーローの様な努力型か、少女漫画に出てくるクラスのモテ男の様な天才型か、どっちが好きかと聞かれたら、女の私は当然天才型を選ぶ。
スポーツマン=熱血漢になりやすいが、熱い男は今時流行らない。Be coolに世の中を渡り歩く方が女子にはモテる。
彼はまさに天才型。何も考えずにひょうひょうと相手を倒していく様はクールでカッコいい。
マイペースな性格はそのままに、いい成長を遂げた。彼が高校デビューの様にダサくならないのは、根本の性格が変わっていないからだ。
「周りによく見せよう」「痩せよう」という自意識は彼には無い。そこがまたクールだ。
そして何より彼の才能を見出し、人生の岐路である高校時代に、見た目を変えずに「デブキャラ」から「スポーツマン」へのイメチェンを導いてくれたくれた柔道部顧問には一生感謝すべきだ。
高校時代になんの部活をしていたかは意外と大人になっても話すし、本人の印象形成には重要な役割を果たす。
野心が無いからこそ輝きを掴み取れることもある、天才にしか許され無い境地に達している彼はまさに国宝である。
■アーカイブ
第1回:『暇こそ輝き!ドリンクバーで無謀なチャレンジをする系男子高校生』
第2回:『初々しさがたまらない! 初めてのバイトは本屋系男子高校生』
第3回:『好きな事に一直線! 3DSが手放せないアキバ系男子』
第4回:『無意識のモテ男! 体育会系スイーツ男子』
第5回:『とにかくモテたい! 可愛い勘違い系男子高校生』
第6回:『青春の奴隷! 熱血野球一筋系男子高校生』
第7回:『隠れモテ男! 放送委員の地味系男子高校生』
第8回:『努力はきっと報われる! 予備校通い秀才系男子高校生』
第9回:『休日の裏の顔! ヴィジュアル系大好き男子高校生』
第10回:『目的は下心!サブカル入門系男子高校生』
第11回:『夏の風物詩!部活帰り黒こげ男子高校生』
第12回:『何故君はこっちにいるのか?! ジュノン系イケメンジャニオタ男子高校生』
第13回:『日本を救う通学中の男子高校生』
第14回:『熱き友情!クイズに捧げた若き秀才高校生コンビ』
第15回:『実は育ちがいい疑惑!?ちょいヤンキー風男子高校生』
第16回:『文武両道! 大学病院に突如現れた天使』
第17回:『3年間お疲れさま!部活を引退した野球部のその後』
第18回:『紙一重!おデブな彼が見付けた活路とは』
第19回:『昼下がりのショッピングセンターに出没!傍若無人なフードファイター』
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