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【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第6回<前編>OCEAN TOKYO 米田星慧

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第6回<前編>OCEAN TOKYO 米田星慧

Views 28 March 2016 (更新日:
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air木村直人さんが、気になる若手美容師の今とこれからを探る対談企画。今回のお相手は、勢いが止まらないサロン OCEAN TOKYOの米田星慧さん。3月14日に、スタイリストデビューを迎えたばかり(※取材時は、アシスタント)。

お二方ともTwitterを通してたくさんの言葉を届け続けることに定評があります。そんな2人から聴く、OCEANのモチベーション維持の秘訣や木村さんの発言の目的とは? 注目の対談スタートです。

キラキラして嬉しそう帰るお客さんの背中を見ることが、モチベーションの維持につながっています (米田)

kimu_image02▲米田星慧

木村さん(以下、敬称略):お会いするのは初めてなので、フェミニンな方なのかと思っていましたが、見た目よりも男っぽい雰囲気ですね。なんか勢いを感じます。それがOCEAN TOKYOらしさとも思うのですが、働いてみていかがですか?

米田さん(以下、敬称略):楽しいです! おかげさまで今、メディアに取り上げていただくことも増えてきたのですが、オープン当初から僕たちの気持ちは変わっていなくて。OCEANに来てもらうことで、“外見だけでなく、お客さまを内側からカッコよく幸せにする”ということに対してのモチベーションが全員圧倒的に高い、刺激的な環境なんですよね。

木村:米田さんは、オープニングに近い頃から働いていて、「幸せです」「楽しいです」と堂々と言えることに対しての根拠ってなんだと思いますか? モチベーションをお店全体が保っていく秘訣は、みなさん気になっている部分だと思います。

米田:OCEAN TOKYOのメンバーは、全員心のなかが熱い人ばかりなんですよね。僕だったら、どんな施術をしているときも、頭の中はお客さんに内面から幸せになってほしいな、その手助けになれたらいいなという気持ちを『届け、届け』と本気で思いながらやっています。
本当は、今日木村さんとお話させていただくので、何を飾ってしゃべろうかなとも考えんですけど、結局「届け」しか出てくなくて。サロンワークをしていても、想いしかないですね。

木村:じゃあ「届け」という思いを紡げる場所である、という解釈でいいんですかね? どちらかというと、それを保つのが難しい人が多いと思うんですけど、気持ちが継続できる理由はどこにあると思いますか? 熱い気持ちだけで、オープンしてから3年近くずっと過ごせるのか? といったら、もう少し具体的な努力がありそうですよね。

米田:環境ですね。僕たちは、airさんほど大きなお店でもないし、全国出店しているわけでもなくて。でもあの場所にいて、いろんな人の背中を見て様々な想いを持ち、お客さんを幸せにするためには自分達が止まるわけにはいかない、と僕だけでなくスタッフ全員が思っています。

木村:美容業界のなかでは、代表の高木さんと中村さんというトップ2名の方が先頭を走っているイメージがあるのですが、その2人を追いかけていくことで、モチベーションを保つことができる、ということですか?

米田:確かにお二人は偉大なので、追いかけるということも一因にはなっています。他にも、寄り添ってくれる先輩がいたり、スタイリストが担当したお客さんが帰る際の背中を見ることがモチベーション維持につながっています。
お店のフロアは、縦長につくられているのですが、施術が終わり出口まで歩いていくお客さんの背中が、すごくキラキラして嬉しそうに見えるんです。

木村:仕上がったお客さんを見ることによって、自分のモチベーションが保たれている、ということでしょうか。人が喜ぶ姿を見るのが好きで、それによって自分の次なる目標が生まれて成り立っている、ということなのか。はたまた、みんながそのモチベーションだから自分もアップダウンがないのか。

米田:代表の高木さん、中村さんの背中を見てカッコイイとも思いますし、仕上がったお客さまを見て心が踊る。でも、それ以外にも、言葉じゃ表現できないものが、OCEAN TOKYOにはすごく詰まっています。

木村:「雰囲気がある」ということですか。いろんな要素が絡まって、その雰囲気が出来ている? 抽象的なものだと分かりにくい部分もあると思うので、具体的に言うと他にどんなところがあるのでしょうか。

米田:確かにいろいろな物が混ざった雰囲気はあります。だからこそ、全員の意識が高く維持できているのかなと。具体的に言うと朝礼で全員がその日の目標を言って、そのあとは全員で円陣を組んで気合いを入れて営業をスタートします。もちろん、夜には目標に対しての振り返りもしていますね。
また、モチベーション維持には欠かせない先輩・同期・後輩とのコミュニケーションが多くあります。
例えば、悩んだとき止まったとき、気付いて背中を押してくれるスタッフ、なにより代表が自ら僕たちの変化に気付いてごはんに誘ってくれたり、自宅に呼んでくれたりして、常に全スタッフを気にかけてくれているからこそ、僕たち一人ひとりが一丸となってOCEANにあるものを大切に、心のままに全員でお客様に対して妥協なく向き合っていくことで、自然とその想いがお客さまにも届くのかなと思ってます。

木村:そういった熱い心意気がサービスや想いとしてお客さんに届いているから、たくさんのお客さんが足を運ぶのですね。

米田:そうですね。来店の入り口がヘアスタイルだったとしても、僕たちの本気で内面から幸せになってほしいという想いが届いて来ていただけるようになったら嬉しいです。だからこそ、お客さまの人生に寄り添っていきたいという意味が込められたお店のコンセプト「LIFE HAIR for you.」は、僕達全員が好きな言葉ですね。

僕のTwitterに届くDMって、ヘアに関わることではなくて人生の悩みがすごく多いんです。でもそれが、僕らが求めてた本当の美容師の姿なのかなって思っています。手紙をやり取りするようにTwitterや日々の営業で、お客様と一緒に歩んでいけたらいいですね。僕自身も、まだ成長中だし迷うこともあるだからこそ、想いは絶対に届くと信じて伝えいきたいです。

木村:ちょっと話を変えると、なぜ僕に会いたいと思ったんですか?

米田:今まではネットを通してなので、実際の木村さんは、どういう人なんだろうって思って。次に、なぜ俺はTwitterをブロックされているんだろうと思い(笑)、今日は解除まで持っていけるかと……。僕、木村さんのTwitterを本当によく見ていたんですよ。だけど突然、「米田くん、悪いけどブロるよ」と来て。

木村:米田さんの好感度は別に低くなかったんです。でも僕はOCEAN TOKYOさんとのスタイルが違うと思うからTwitter自体あまり見ないようにしていたんです。経験上、集団で発信を行ってる感覚がある人たちとは絡むと少し面倒なこともあるので、基本的には絡みません。俺のことは忘れてください、という感じでブロックをします。
でも、実際に会ったらこうやって話すし、情報交換はしますよ。僕はインターネット上では相当クールだから、あまり気にする必要はないです。

美容師の社会的地位を向上させたいから、文化的なことも発言する(木村)

kimu_image03▲木村直人

―― 思想の違いを少し深掘りすると、そもそもお客さまの性別や像が全然違うところからもあるのかなって。OCEANさんは、メンズサロンというイメージが強いので、女性と男性では、得るものが違うのかなと思う部分もあるのですが、米田さんが木村さんのことをフォローしていた理由ってなんですか?

米田:まず、興味です。木村さんの書くブログや発信する勢いがすごいなと思っていて。お客さまの性別や像の違いはありますが、「カッコよくなりたい」「可愛くなりたい」という気持ちはそこで丸になっているので人として見ると同じなのかなって僕は思います。

木村:一緒だと思いますよ。みんな真面目だと思うし。米田さんも真面目というか清廉された感じですよね。

米田:木村さんって、僕が学生の頃は雑誌をすごくやられていた印象なんですけど、なぜこんなにもSNSに力を入れられたんですか? ブログについても、言ったらまるでプロバイダーじゃないですけど、まるでネットをつくっている人のような記事を書かれるなと思っていて。美容師というより、IT系の人がまるで美容師になったようにキレイに書かれるので、なぜSNSサイドに入ってきたのかなってすごく気になります。

木村:僕は古いものに縛られるものが大嫌いなので、SNSに関しても、ただそこにあったから使っている。それを使うことがデフォルトなんですよ。インターネットを使ってるから果たして冷たいのかとか、そういうような意識とかはない。そういったサービスとかプラットフォームは常に進化するから。

でも、雑誌とSNSの両方を進めていく中で、雑誌はあまり進化の成長を感じていなかった。成長を感じているのは後者で。普及率も右肩上がりだけど、出版業界は右肩下がりですよね。別に否定するわけではないですよ。僕もずっとやってきて、助けられていましたし、雑誌があったからこそ自分が生きられたという概念があります。

だから、サポートしたいというか、僕がでているから買ってくれるという自分でいなきゃいけないなとも思ったし、SNSを使うことによって、逆に雑誌を売ることもできますよね。
取り上げてくれたことに対して書くことで100冊200冊売れるような感じになったら、それはそれでまた仕事が回ってくるし。そういった意味での「使う」ということかもしれないですね。あとは収益モデルですね。僕は美容師だけでやっていこうと全く思っていないので。

米田:僕、他のいろんな方のTwitterやブログを見させていただいている中で、木村さんが一番業界発展に力を入れられているなと思っていて。どこで感じたかとかじゃないんですけど、美容師の内側を外に出していると感じたというか。練習風景はもちろん、「この間アシスタントからお金を借りました」っていうことも書くし、今まで出てこなかったことを世の中にすごく出される方なんだな、と思っていて。こういうところからでも周りの印象って変わっていくじゃないですか? プレイヤーとしてはやりきっていて、他のことを考えてらっしゃるのかな? とずっと思っていました。

木村:自分らしく生きたいっていうだけです。例えば美容師さんが僕を見てギャップを感じているのって、“美容師はこうである”という固定観念があるんですね。だから、「ええ!?」ってなるけど、別にこういう美容師がいて何がいけないのかと聞かれると、正確な理論は述べられないですよね。
僕はそういった感覚を壊しているだけ。美容師免許持ってれば全員美容師なので。

今だったら新卒が入って、「髪切っていいよ、美容師だから」って言いますもん。切らせてみて全く切れなくても、そこで知ることもあって。いきなりカットさせれたら、衝撃が一生残るじゃないですか。あのときできなかったから、今練習しなきゃいけない、というプレッシャーにもなるし。今は、スタイリストになるまで5年6年という時間を費やすような形になっている。要は学校教育に近いニュアンスになっているし、義務教育が伸びているので、それをなんとかしないと、結局上手くなるやつもいないし、あまりイノベーションにもならないので。
多分、自分がお店出すことがあればやると思いますよ。訴えられたとしてもね(笑)。別に法律上悪いことないもん。

美容師の基準という固定概念をあまり持たない。プレイヤーとしてのSNSの使い方に関しても、何が悪いの? って思う。その基準値は、お客さまの評価で定めているので。僕がこんなことやっていて、お客さんがガーンと減るんだったら間違ってると思いますよ。でも増えてますから。だから、いろんなところにトライしてるんですよね。もちろん売上もトライしますし、商品やプロダクト、ネットもトライしてますし、すべてにおいて結果を出すというのが自分のポリシーなので。

そういうのにはインターネットももちろん必要だし、詰めていくとこういう全部つながってくるというか。だから業界のためとかは全く思ってないですよ。別に美容師になりたい人なんて増えなくていい。いらないでしょ、もう(笑)。「辞めたい」って言ってるやつには、「さっさと辞めろ」と言うし、冷たいようだけどそういうのを拾うとかじゃなくて、1回淘汰する時代もたぶん必要だし。僕は全部うちを発展させるためにやってるだけ。
だから、個人としては美容業界の足並みを揃えようとは全く思ってませんよ。ただ、僕も会社に所属している人間なので、空気を読む必要があるとは思います。ちゃんとデザイナーとしての枠は外れないで進むし。
そういった部分で発言とか言動が最近変わってくるというのは、美容師も社会的な人が生まれてこないといけないと思っていて。「お客さんのためにがんばろうぜ!」とだけ言っていても、業界は何も変わらないんですよ。そういう人が増えるだけ。
その分、外から見たら卑下する人も増えると思うんですよ。「美容師ってチャラいね」、じゃなくて、社会的なこともきちんと行って、よりよく広められる1つのものをどんどん増やしていかないと社会的地位向上にはつながらないと僕は考えているから。だから、割と文化的なこともずっと言ったりするし、社会問題というところについても書くし。美容師さんには、そういうのは読まれないんですけどね(笑)。

――次週、木村さんが嫌いなのはSNSで○○○○と発言する人!?後編はこちらから

 

連載アーカイブ

【対談連載】木村直人の『Youは何しに美容業界へ?』第1回 :AKROS smiloop砂川勇斗(前編)

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第2回Lily 寺村優太

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第3回Bella Dolce日野達也

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第4回ホスト系美容高校生 佐地竜也 アレンジ美容高校生hina aizawa

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第5回boat by ROVER稲垣佳恵

【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 最終回U-REALM高木裕介

 

プロフィール

米田

米田星慧

(よねだ・せいえ)1993年2月17日生まれ。神奈川県相模原市出身。2014年3月にOCEAN TOKYOに入社。3月14日にスタイリストデビュー! プレスや人事担当も務める。Twitterに毎日届く莫大な量のリプやDMに必ず返信、画面越しにお客様と会話する“想いを届ける美容師”。

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木村直人

ヘアスタイルスキルにおいては語るに及ばず、常に先を走る日本のトップクリエイターの1人。「上質、洗練」をテーマにし、グラデーションカラーに代表される様に斬新な価値観で世の中にトレンドを発信し続けてきたオールラウンドプレイヤー。
情報発信者としても高いスキルを誇り、常に精度の高い情報を提供し続けている。
主宰するオンラインサロン「マルチバース」においては開始2日で400名の会員を動員。LINEスタンプディレクション、美容メディア構築など、美容師の仕事だけにとどまらない活動を通じて社会に対しての貢献を成している。
芸能人顧客多数、雑誌などでも目にしない事はない程にサロンでもサロン外でも精力的な活動を行っている。
【著書 ハラドキヘアスタイルブック(三栄書房)】はAmazonビューティーランキング第1位を獲得。

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■木村さんの過去の連載はこちら

【木村直人連載 最終回】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!

撮影/saru

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