アラフォーです。
妊娠7ヶ月になる妻がいましてこないだ「4Dエコー」なるものを撮りにいったらしいのですが、写真では全く分からず…
「この肉の塊は…」
と失言してしまったら怒られ。
動画で見たときに鼓動を見たり、動いている様を目の当たりにしたら涙を流してしまう。というなんとも単純で直情的な人間です。
緩やかに下る体力に抗い、緩やかに上昇したいという願望で生きてます。
まぁ、どうでもいいですね。
さて…
【木村直人連載vol.8】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫! | MTRL
https://mtrl.tokyo/column/8108
(前回まで)
美容師になって数年経ってから、写真が消滅してるんですよね。
ほんと「思い出」という所にも興味がなかった時代なのでしょう。
かなりの暗黒期間だったのかと。
アシスタントからスタイリストになるまでの期間で突然一心不乱になりだした時期もありまして、その辺りの記憶って…
なんか「前下がりワンレングス」(スタイリストになるのにクリアしなきゃいけないカリキュラム)ばっか切ってた記憶。
なかなかクリアできなかったんですよねぇ。
チェックされるコーム(くし)の音がウィッグ(練習用人形)の首元に当たって”カツーン、カツーン”という音の恐怖感。
そういったチェックの仕方が頭の中に突き刺さっていて、ゴクリ…と緊張しながら合否を待っていたものです。
クリアしていく過程の中で行った事は…
”過剰なまでのアピール”
そう、見てもらう先輩達へのアピールが必須です。
毎日毎日切っては、切って見てもらう台数を増やして…
「もういいよ。うんざりだよ!」
と言わせる様に仕向けてやろうと考えた。
沢山のウィッグを切ってはずらっと並べ、一台一台見てもらう。
逆に今の子達の勉強方法を見てると「作業感」が強く、そういった野心や情熱に触れるものにはなってないと思う。
カリキュラムの進みが遅い人はそういった「情熱や野望、そしてしたたかさ」も正直必要に思う。
見る側の人も人間なのだ。
「たった一回切ったものを日々見せる」
というのは常識範囲内で見る人のイメージの範疇であり、それを超えるアピールも必要なのだ。
それはきっと技術者(スタイリスト)になってからも非常に役に立つ要素になるであろう事だけはアドバイスしておいてあげたい。
美容師において決定的に必要なスキルというのはそういう事だと思うからだ。
そういう努力も必要だという事。それに対してお客様はお金を払ってくださっているのだ。と考えたらそういったアクションがイメージしやすい事は言うまでもないだろうと…
こうして、最後の試験を迎え、合格に至った。
その時爆発した感情は忘れる事はないだろう。
そう思った時に大袈裟だけど、最後にクリアしたグラデーションボブのウイッグを抱きしめて号泣した。
一応僕も男だ。
基本的にクールな価値観はあったけど、その時は話が別すぎた。
溢れ出る感情は抑えられず爆発した。
別に人に見られててもいい。鼻水垂らしまくりでもいい。
本当にただ泣いた。
こんなに嬉しいと思った事はないほどに。
では近年での様子を見てみよう。
涙するほど感情を出している様には見えない。
喜びは表現しているのだが、中身が湧き出る程の感情を出している人は少ない様に思う。
僕はアシスタント2年半くらいのキャリアだった。
別に店は違えどカリキュラムというものは大体「3年程」で考えられているものが多い様に思う。
過去の連載を振り返っていただけるとわかると思うが24人入社した同期は半数以上居なくなっており、僕がスタイリストデビューする順番で言えば同期の中で2番目だった。
多分、無理をしていた。
寝ないで練習していた事も、幼稚な感情は周りの人にも沢山迷惑かけただろうし、それでも早くスタイリストになりたかった。
僕が今現在も「多少、自分に負荷をかけていく作業は大切」と述べる事があるのはこういう事にも関連している。
現在、スタイリストになるであろう人を見た時に「湧き出る感情」を感じないからだ。
必然的に「あまり自分に無理はしてなかったんじゃないかな?」と推測してしまう。
なのでアシスタントキャリアも当然長くなる。
別にそれが悪いとは全く思わないが、アシスタントキャリアを積む中でそういった作業が自分でできる様になる。ということもカリキュラムにおいては大切な要素だった様な気がするからだ。
だからこそあえて今この場では贈ろう。
そうして、僕はスタイリストになる。
デビュー月の売り上げ記録は「114万円」
今では300万円とか売り上げる化け物みたいな人もいるが当時はこれが限界だった。
そういった今の様に「情報が簡単に手に入る世の中」だったら300万円にトライしていただろう。
15年前に戻れるならもう一度チャレンジしたい。
なので、今現在そういう立ち位置の人はそういった情報収集能力も不可欠である事をここで述べておこう。
そのくらいの時代はとにかくそれでいいと思うからだ。
後々、「やろう!」と思っても年を重ねると腰が重くなるものだ。
できるだけ若いうちにやれる事をやった方がいい。
後悔はしない様に…
その当時、「撮影」というものに対する憧れはハンパなかった。在籍していたサロンはそんな積極的なサロンでもなく、技術売りのクールなサロンだったがそんな中でも稀にそういう話は舞い込んでくるものだ。
そのチャンスをもらえた。
そしてそれが掲載された時も身震いするものだ。
今では見たくもないくらいの仕上がりだっただろうが、それでも嬉しかった。
皆にもそういうチャンスがあれば得てもらいたい。
それはホント心から思う。
ここまで言っておいてなんなんだが、僕もこんな事を言っておいて、てんでダメなスタイリストであった事は言うまでもない。
ここまで熱い事を書いておきながら、転落するタイミングはあるものだ。
振り返ると最大の黒歴史と呼べる出来事になると思う。
スタイリストとして2年程経つか?という頃…
また来週。
■アーカイブ■
【木村直人連載vol.1】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
【木村直人連載vol.2】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
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【木村直人連載vol.6】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
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【木村直人連載vol.8】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
【木村直人連載vol.9】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
【木村直人連載vol.10】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
【木村直人連載vol.11】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
【木村直人連載 最終回】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!
■ライタープロフィール
木村直人
ヘアスタイルスキルにおいては語るに及ばず、常に先を走る日本のトップクリエイターの1人。「上質、洗練」をテーマにし、グラデーションカラーに代表される様に斬新な価値観で世の中にトレンドを発信し続けてきたオールラウンドプレイヤー。
情報発信者としても高いスキルを誇り、常に精度の高い情報を提供し続けている。
主宰するオンラインサロン「マルチバース」においては開始2日で400名の会員を動員。LINEスタンプディレクション、美容メディア構築など、美容師の仕事だけにとどまらない活動を通じて社会に対しての貢献を成している。
芸能人顧客多数、雑誌などでも目にしない事はない程にサロンでもサロン外でも精力的な活動を行っている。
【著書 ハラドキヘアスタイルブック(三栄書房)】はAmazonビューティーランキング第1位を獲得。