先週より始まった、air木村直人×AKROSsmiloop砂川勇斗さん後編! 前回の内容はこちらでチェック!
【木村直人 新連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第1回AKROS smiloop砂川勇斗<前編>
【ちなみに前回までのお話をざっくり説明すると…】
・木村さんは、SNSで見かけるsmiloopの人たちの好感度が高くて気になっていた
・砂川さんはお店を任され、集客が求められる立場になったときに、唯一できることがツイキャスでヘアセット配信をスタートした
――砂川さん、Twitterの使い方で意識していることはあるんですか?
砂:最初は特に何も考えず、ただつぶやいていました。でも最近は、僕が感じたことを伝えて、何か少しでも楽しんでもらえたり、プラスになることを与えられたらいいなって思ってやっています。有名になりたいと思ってTwitterを始めたわけではなかったんですが、今は発信できる重要なツールでもあるので、ある程度の知名度は必要だなと考えています。
木: 5万8000人もフォロワーがいて、しかも自力じゃないですか。すごい発信力だなと思いますね。やっぱり情報収集ツールもインターネットですか?
砂:僕は、Twitterですね。
木:Twitterオンリー?
砂:はい。あんまりネットで検索もしないですし、Twitter飛んでいって見るくらいですね。
木:じゃあ、業界誌とかはどうですか?
砂:全く読まないです。
木:読まない……! 一般誌は?
砂:漫画しか読まないです。
木:漫画。おもしろいね(笑)。
一同:(笑)。
木:でも、リアルはそうだと思うんですよ。
――美容業界誌、皆さん読むのかと思っていました。
砂:全く読まないです。
木:僕も読まないです。出てるけど。
砂:でも、ヘアカタは男性誌・女性誌どっちも見ます。あとは、特に何も見ないです。
木:やっぱそうですよね。一般誌を否定するつもりはないんですけど、それをやるメリットっていうのは、雑誌でヘアスタイルを提案することによってお客さんが来たり、ブランディングがなされていたっていうことがあったからやっていたんですよね。
でも、今の若い層の人が、「見てないっすよ!」みたいなこと言われたら、だよね~って思っちゃうかも(笑)。そういったことを、自分の時間を費やして行ったとしても、彼らに対してメリットを起こすアクションにならなかったら、あんまり意味ないのかなって感じたりするんですよね、最近は。
もちろん見ている人もいるけど、実際そういったものを見ていない砂川さんより来客は少なかったりするじゃないですか。
――業界誌の本来のあり方ってどうあるべきだと思いますか?
木:基本的な概念で言うと、雑誌っていうのは情報を知るツールがなくて、それをピッカーとして編集者がピックアップしてるわけじゃないですか。でもその概念が崩れていますよね。月刊で待って読むってことよりも、常に生の情報を発信し続けられている世の中だから。
でも、先人たちがSNSで発信すること押し付けようとする傾向にあって、それはいかがなものかなと思うんですよね。肯定するのはいいけど、こっちを抑圧する理由って何もないので。そういった人たちを、雑誌で登用することによって部数が伸びる可能性だってあるので、もうちょっとお互い上手く使っていけたらいいですよね。読んでない人を読ませることもできるし。
結局、今だったら自分たちがピッカーになることができるから、今回情報を発信している若い人たちが何を考えているのかを感じたいなって。
美容師って、人数推移としては、40数万人からずっと変わっていなくて。毎年9000人くらい増えるんだけど、その半数くらいが1年で辞めていて、実質4500人くらいが増えていって、廃業する人もいて。そういったなかで、情報を得る手段っていうのが紙だけでいいのかっていったら、問う必要性がありますよね。何が正しいのか、何が正義なのか最近は分からなくなってきたんですよ。
砂:僕は、来てくれたお客さんが喜んでくれればそれでいいです。
木:まさにその通りですよね。じゃあその来てくれたお客さんっていうのは、何を求めて来店されているんですか?
砂:技術を求めていることはもちろんだと思うんですけど、このお店に来るお客さんはしゃべりたいって人も多いと思います。仲良いお客さん同士がいてたまり場みたいになるときがあるんですけど、そんな感じでいいなって思います。
木:努力したところってどこですか? これからソーシャルネットワークを使って、どんどん何かを起こしていきたいっていう若い子も多いと思いますし、5万8000人のフォロワー数に至ったのは、どういう理由かっていうの自分なりの分析をいってあげると参考になるかなって思います。
砂:僕は、YouTubeやTwitterとかいろいろやったなかで、ツイキャスが一番ハマったので、それをなるべく続けているくらいであとは特にないですね……。
――ツイキャスの魅力ってなんですか?
砂:リアルタイムの中で、その都度質問に答えられたり、見てくれてる人やお客さんとつくるライブ感にあるのかなって思います。ラジオキャスのような少ない人数でやっているときは、ガチで悩んでいる人が来ることが多いので、来ている人みんなで相談して話すことができたり。
木:でも、ヘアセットをやっていて、なんで髪切りに行こうと思うんでしょうかね? 作品をどんどん発信しているわけではないじゃないですか。なぜ、ヘアセットをやっていたら、砂川さんのところに行ってみようと思うんでしょうか?
砂:僕もはっきりした理由はちょっと分からないですね。でも、いつも楽しくわいわいやっているので、「アクロスは有名だけど、smiloopなら来れると思いました」「人見知りの僕でも大丈夫そうだなって思いました」という風には結構言っていただけます。
木:今、人見知りの人すごく多いですよね。
砂:そうですね、だから自然に楽しくやっていればいいかなって思っています。
木:楽しくやっている雰囲気が来店につながっていると?
砂:それもあると思います。考えたことないですけど。
木:だって何もなかったら来ないでしょ? このために来たい! っていうのがあって普通は来店されると思うんですよね。例えば、バブルマッシュがいいです! みたいな。
砂:それもいるんですけど、最近はおまかせが多いですね。
木:そう! ネットを使っているとおまかせが多いんですよね。結局、Twitterでフォローしているこの人にやってもらいたい! ってなって来ているから。僕もそうなんですよ。
――紙雑誌が露出のメインだったときは、「この髪型にしてください」っていうのが多かったんですか?
木:そうそう、雑誌で見た髪型にしたくて来店する。それがおまかせになりました。オーダーっていうのはないですね。あと自分で決められない人が多いです。
砂:そうですね、僕も最近はほぼおまかせです。うれしいことではありますけどね。
――露出のツールが変わって、髪型のオーダーにも変化があるのはおもしろいですね!
――正直なところ、そういったSNSを使うことが集客につながっていますか?
砂:はい。はっきりとした数字は分かりませんが、多分来客してくださるお客さんの9割は、Twitterやツイキャス、YouTubeがキッカケだと思います。
――9割!?
砂:あくまで、感覚でですけどね。僕らのサロンは、ホットペッパーを見て知ってくれた方よりも、SNS先行で知ってホットペッパーに飛ぶって方が多いと思います。
あ、でも予約はほとんどの方がホットペッパーを経由して来てれているのと、そこでSNSに載せていないスタイルを見て、画像を持ってくる方もいます。
――だったらWebの予約システムをつくっちゃったほうがいいんじゃないですか?
砂:Webはあんまり詳しくなくて。
木:まぁそれはご自身のサロンをやり始めたら考えればいいですよね。でも、例えばの話、そういう美容系サイトの広告費に50万払って1割くらいしかこないんだったら、その50万をストックして、スタッフの給料3万円ずつ上げられますからね。
――すごく意外ですね、予想でも9割がTwitterやツイキャスって。
砂:もちろん、AKROSの他店舗のスタイルを見ながら来てくれたりもするんですけど、この店舗はそうですね。
通常は、最初に集客が増えるキッカケになるのって、ビューティBOXでヘアスタイルがランキングに入ったり、ビューティホットペッパーで上位になることでお客様が増えていくスタイリストが多いように感じているのですが、僕そういうサイトにスタイルを上げるのに少し時間かかってしまうので、Twitterで先行配信をしちゃうんですよ。
それでほぼ来ちゃうので、あんまり美容系サイトのスタイルを見たからっていうのはないです。
木:僕は、ほぼブログとTwitterですね。狂信者ですけど、Twitterもめちゃめちゃ強い。
――木村さんは、Twitterの内容が美容寄りじゃないことも多いですよね。それってここ最近の話ですか?
木:そうですね。これからの若者層の人にとっては、そういうことがあるって知るだけでも、この話が自分の未来のことになると思うし、のちのちためになるんじゃないかな。
――では、最後に本日の感想をお願いします。
砂:木村さんとは、MTRLで知ってからずっとお話しさせていただきたいと思っていたので、すごくうれしかったです。Twitterでフォロバしていただいたとき、ありがとうございます! って言った方がいいのか、逆にそういうの嫌なんじゃないかって2日くらい悩んだんですよ(笑)。だから、こういう機会を設けていただいてすごくありがたいなって思っています。ありがとうございました。
木:僕は、ある種大人層が知らないイノベイティブ(革新的)な動きっていうのが、僕らの知らない水面下で行われていて、その本人たちがイノベイティブだって自覚がないことこそが時代なんだなっていうことを改めて痛感する対談でした。我々の世代がいかに固定概念に縛られていたかっていうか、もっと知っていうことの必要性を感じましたね。
結果論、若い世代っていうのは、何かを狙ってやるのではなく、あんまりしたたかであってはいけないんだなって思いました。
――確かにそうですね。とりあえずやってみたら、それが結果になっていたみたいな、YouTuber的な発想!
木:僕自身ブロガーでもあるけど、ブログの何が楽しかったっていうと、楽しそうだなって思って始めたから楽しかったわけで。それを集客目的で始めていたら継続性がなかったかもしれないですよね。
砂川さんも今楽しんでやっているんだろうなって聴いていて思いました。ツイキャスしていたら、コミュニケーションが生まれて、そこに対して楽しさを覚えて。それがお客様に響いて、来店してくれるっていうのは、ツールを使って発信する王道のコースですよね。自分もそれをやってきたつもりだし、初心を思い出させてくれたなって感じがしましたね。やっぱり、純粋であれ! ってことですかね。とても刺激的でした。
――素敵です。私たちも勉強になりました。ありがとうございました。
☆来週は、Lily寺村優太さんのところへお伺いしています!
■連載アーカイブ
【木村直人 連載】『Youは何しに美容業界へ?』 第4回ホスト系美容高校生 佐地竜也 アレンジ美容高校生hina aizawa
1989年9月1日生まれ。東京都出身。パリ総合美容専門学校卒業後、3店舗を経験し、AKROSに入社。現在スタイリスト3年目にして、AKROSsmiloop店をまとめる。お客様にあった似合わせヘアが得意。使用しているカメラアプリは『カメラ360』。
ヘアスタイルスキルにおいては語るに及ばず、常に先を走る日本のトップクリエイターの1人。「上質、洗練」をテーマにし、グラデーションカラーに代表される様に斬新な価値観で世の中にトレンドを発信し続けてきたオールラウンドプレイヤー。
情報発信者としても高いスキルを誇り、常に精度の高い情報を提供し続けている。
主宰するオンラインサロン「マルチバース」においては開始2日で400名の会員を動員。LINEスタンプディレクション、美容メディア構築など、美容師の仕事だけにとどまらない活動を通じて社会に対しての貢献を成している。
芸能人顧客多数、雑誌などでも目にしない事はない程にサロンでもサロン外でも精力的な活動を行っている。
【著書 ハラドキヘアスタイルブック(三栄書房)】はAmazonビューティーランキング第1位を獲得。