Amazon Prime Videoで配信されている『バチェロレッテ・ジャパン』。これまでの『バチェラー・ジャパン』男女逆転版で、才色兼備な独身女性=バチェロレッテの「運命の一人」になるべく17名の男性が共同生活をしながら戦う婚活サバイバル番組です。
番組キャッチコピーは「今度は、女が選ぶ番」。
たしかに現実社会では女性主導で進む恋愛も一般的です。では「女に選ばれる男」とはどういう人なのか? 『バチェロレッテ』から見えてきたその条件を解説します。
※番組内容のネタバレを含みます。
最初に番組の結末を言ってしまうと、初代バチェロレッテの福田萌子さんは最後の一人を選ばない、という決断をしました。この結末は番組ルールに反することから「衝撃的」などと言われ、物議をかもすことに。
しかし現実の恋愛でも、マッチングアプリや合コンで出会った人と必ずしも付き合うわけではありません。同じく番組の17名の男性陣に萌子さんがたまたま「この人だ!」と思える人がいなかっただけ。むしろ「選ばない」結末こそ逆にリアルな恋愛模様が表れていたと思います。
そして結局は萌子さんに選ばれなかったけど、最後まで残った2名、黄皓さん&杉田陽平さんは、世の女性からはとても支持される結果となりました(萌子さん自身もどちらか選べなかっただけあります)。
黄皓さん、杉田陽平さんは何が魅力的だったのか、紐解きましょう。
番組内で萌子さんは参加者男性と「語り合う」場面を何度も設けていました。
1対1の場面では参加者男性に「何を大切にしているか」「どんな人間なのか」「なぜこの番組に出たのか」ということを問いかけ、萌子さん自身も開示しています。
このような問いを女性から投げかけられた際に、表層だけのモテテクニックやファッションセンスだけを装備している男性だと、言葉に詰まってしまいます。
実際に途中で脱落してしまった人は「語り合い」から逃げてしまった印象がありました。萌子さんからの問いに黙ってしまったり、矛盾した発言をしていしまったり、さらに脱落後に萌子さんのことを「気が強い」と言ったり……。これは脱落した男性が悪い・特殊というより、多くの一般男性もこうなってしまうのではないかと思います。
一方で黄さん、杉田さんはというと、萌子さんからの問いに逃げず、自分の気持ちを開示して、論理立てて言葉で伝えている=言語化している点が多く放送されています。
例えば黄さんは、自身の恋愛に対するトラウマを踏まえ「(萌子さんが)好きだけど感情的になっていないのを演じていた。(中略)人を好きになるより、好いてもらっていた方がその2人の空間が幸せな時間が流れるんじゃないかなって思っていた。人を好きになるのをすごくためらっていたんだけど、ダメかも」と涙ながらに萌子さんのことを本気で好きになってしまった気持ちを本人に語ります。
また杉田さんは萌子さんへ「たまらなく好き。貴方のことを考えると成長出来るしびっくりする明日になる。(中略)貴方は生きるのに必要不可欠な存在になった」とはっきりと告白をします。
現実の恋愛に置き換えても、「察して」欲求の押し付けはすれ違いの元です。
カップルの場合「一緒にいて楽」に依存し、本音を語り合わないと、気づいた時には心が別の方向を向いてしまって「なんか違う」となるのは、別れのあるあるパターンではないでしょうか?
カップルであっても他人は他人なので100%の相互理解は無理という前提はあります。しかし多くの時間と感情リソースを割く相手ならば、少しでも分かり合うために態度ではなく言葉で気持ちを表す努力は必要だと思います。
もちろんカップルに限らず、好きな女性に対しても同様です。
何故好きになったのか、自分はどんな人間であるかを丁寧に言語化して伝えられる男性こそ、女性に選ばれ、なし崩しではなく真剣な交際に発展することができると思うのです。
また自分の気持ちを言葉にできるというは、同時に相手の気持ちを受け止められるキャパシティを持っているということ。
「気持ちの言語化能力」を持っていれば、他人にも優しくなれる。その結果「選ばれる男」になるのです。
では恋愛において自分の気持ちを言語化するためには、どのようなステップが必要なのでしょうか。
番組では萌子さんが「運命の人」すなわち「結婚相手」を探します。萌子さんは番組内で「子供がほしいと真剣に思い、結婚についても真剣に考えるようになった」と、なぜ番組に参加したかの明確な目的と理由を語っています。
黄さん、杉田さんも同様。萌子さんが好きである理由を明確に見つけていました。
現実の恋愛でも、「なぜ彼女がほしいのか」「なぜこの人に選ばれたいのか」を見つけることが大切だと思います。女性からしたら軸がブレている男性は、頼りない印象も受けますし、本当に自分のことが好きなのか不安で一緒にいても幸せを感じられません。そんな男性を女性は選ぼうとしません。
恋愛の目的をただ「寂しいから」「美人だから」「タイプだから」の雑な括りにせず、一歩踏み込んで「なぜ」を考え抜き、自分の中で明確な答えを見つけることが第一歩ではないでしょうか。
深堀して明確になった気持ちも、言わないと絶対に届きません。
言葉が足りないから女性はいつも不安になるのです。付き合う寸前までいった女性と急に脈がなくなったのも、いつまでも言葉で感情を伝えてくれず、不安になったから違う人に乗り換えたというパターンが往々にしてあります。態度でわかってもらおうとしないで、丁寧にわかりやすい言葉で相手に伝える努力をサボらないでください。
自分の気持ちを伝えることと、押し付けることは違います。
押し付けることはあくまで自己愛に満ちた行動。例えば「こんなに好きなのになんでわかってくれないんだ」という他人の感情を無視した発言にもつながります。
番組では、最終回後に出演男性17名と萌子さんとMC(ナインティナインさん、SHELLYさん)による「アフターファイナルローズ」というトークセッションが行われます。
ここで「運命の人を選ばない」という決断をした萌子さんに対し、男性陣は「ズルい」「真剣に向き合っていない」「ふざけんな」という罵声を浴びせる酷い有様。結局萌子さんではなく自分自身が好きだったんじゃんということを改めて再認識させられる放送となりました。
しかし、黄さんと杉田さんは最後に選ばれなかったことに対し、一番傷付いているはずなのに、相手を尊重する発言をしていました。
黄さん「(萌子さんは)空気読めないとこあるじゃない、そういうとこがカッコよくて好きなんだけど」
杉田さん「途方もなく萌子さんだよね」
自分の気持ちを納得しきるまで掘り下げていたからこそ、逆に相手には多くを求めない。自分の気持ちを自分で完結できる強さを持っていました。
このように「気持ちの言語化能力」とは、まずはどれだけ自分や相手と向き合っているかで養われます。女性から「選ばれる男」になるべく、自分自身についてじっくりと考え抜く癖をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。
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