書籍化が決定したMTRLの人気連載『ギャル男でもわかる政治の話』。発売に先駆け、先週から書籍の内容をチラ見せ中!
前回は、憲法とは「ジャンプ三原則」である、をお届けしましたが、今回は何かと話題の年金について。
よく、僕たちが大人になる頃には年金はもらえないなんて噂を聞くけど、実際のところどうなんですか、おときた議員!
残念ながら、若い世代がいまのお年寄りのように年金をもらえる可能性は限りなく低い。しかし、現状のヤバさと年金制度の本質を理解し、正しく変えるアプローチを取ることができれば、オワコンになっている年金問題もきっと解決できるはず……たぶん。
おときた:ふたりはもう、年金を納めているかな?
トキト:もちろん。
ひっち:納めてるはずです!
おときた:はずですってどういうことだ(笑)。じゃあ、年金ってなんだと思う?
ひっち:若いときに払っておくと、あとからもらえる、みたいな?
トキト:あれ、でもそれやったら貯金みたいなもんやない? どう違うんやろ。
ひっち :たしかに。そしたら年金なんて納めずに、貯金すればいいじゃんね。
トキト:っていうかオレら、じじいになるころには年金ってもらえへんらしいで。
ひっち:マジで!? じゃあなんで払わされてるんだよ!
おときた:はいはい、落ち着いて! そもそも、年金というしくみについての説明が必要なようだね。じゃあ、年金を払う紙にはなに料って書いてある?
トキト:(ひっちにこっそり耳打ちをして)年貢。
ひっち:年貢!
おときた:違うよ。
ひっち:ダマしたなー!
トキト:へへ(笑)。保険料って書いてあるやん。
おときた:じゃあ、保険ってどういうことか知ってる?
ひっち:うーん、わかんないな。
トキト:基本は毎月払っていて、なんかあったときに大きなお金をもらえる、ってこと?
おときた:そうだね、命にかかわるようなことがあったとき……たとえば、ドラクエで仲間が死んじゃったらどこに行く?
ひっち:教会!
トキト:あ、あれもお金を払うんやっけ。
おときた:そう。でもレベルが上がっていると、復活するのに1万ゴールドとかめちゃくちゃ高いお金が必要になる。そこで、仲間同士で毎月10ゴールドずつ貯めておきましょう、と考えるのが保険だ。
ひっち:いつ「痛恨の一撃」がくるかわかんないもんなあ。
トキト:いざというときは、その積立金から補助してもらう、と。
おときた:そう。月々少額の積み立てをしておくことで、万が一のときにタダになる。これ、もったいないことだと思う?
ひっち:そんなに損した気はしないな。
トキト:死ぬかもしれへんときのためにお金を払ってるってことやんね?
おときた:そう。そして保険の本質は助け合いなんだけど、これは死なない人のほうが多いから成立するビジネスなんだ。
ひっち:たしかに! 死んじゃう人のほうが多かったら支払いきれないよね。
おときた:うん、だからもっと言うと、年金は「うっかり長生きしちゃったときの保険」なんだ。これ、どういうことかわかる?
トキト:みんながもらえる前提やないってこと?
おときた:正解。万が一長生きしちゃった人のために、先に死んじゃった人が積み立てていたお金を払う、というのが本来の年金のシステムだったんだ。
●おときた塾の学び
ひっち:たしか、昔の人はいまよりも寿命が短かったんじゃなかったっけ?
トキト:そうか、だから年金をもらえる人のほうが少なかったのか!
おときた:寿命は終戦直後と比較すると、30年くらい延びている。でも、寿命が伸びているのに年金をもらえる年齢が上がらないと、どうなるだろう?
ひっち:みんながもらえるようになる!
おときた:それっていいことだと思う?
ひっち:うーん、もらえるんだから、いいことなんじゃないかな?
トキト:いや、それやとお金が足りなくなるんとちゃうかな?
ひっち:あっ、そっか……!
おときた:いいところに気づいたね。もともとは「保険」だった年金も、政治家たちが「これさえ納めておけば、定年後は死ぬまで安心ですよ」と大盤振る舞いした結果、いまや年金制度は危機を迎えている。これはようするに、これまで積み立てた金額が足りなくなる恐れが出てきたんだ。
トキト:じゃあ、もらえる年齢をひき上げればいいだけやん。
おときた:いますぐにそうすれば、なんとかこの制度は持ち直すだろうね。だけど、これまでのテーマと同じで、そういうことを言うと選挙に落ちてしまうから、政治家はまずやろうとしない。
ひっち・トキト:もういい加減にしてくれよ、そういうのっ!
おときた:君たちの気持ちはわかる、わかるよ……。
トキト:じゃあ、オレらが年金が絶対にもらえると思って老後の人生設計をしちゃうとヤバいってこと?