おときた:ヤバくなるかもしれないね。少なくとも、もらえる金額はかなり少なくなるはず。このまま少子化が爆速で進めば、ふたりくらいの世代だと40年近く年金を納めても、もらえるのが毎月数万円なんて事態もあり得るかもしれない。
ひっち:そんなの、自分ひとりだって生活できないじゃないか……ひどい、ひどすぎる!
トキト:貯金した方がマシやん。オレたちっていま、どれくらい払ってるんでしたっけ?
おときた:厚生年金であれば、給料の約18 %だね。
ひっち:えーっ、そんなに!?
おときた:月々数万円は払っているはずだけど、会社員は給料から天引きされているから、実際に支払っている感覚は少ないかもしれないな。
トキト:みんな、無関心やもんなあ。
おときた:しかも、さらに恐ろしいことに、いまはもう積立金だけで払うことはできなくなっているから、実はみんなが支払ったお金がそのままお年寄りに行き渡るような仕組みになっているんだ。これを賦課方式という。
ひっち:えっ……でもいまは少子化だから、お年寄りの人数はかなり多いよね?
トキト:その人たちの年金分がオレらの給料から差っ引かれてるってこと……?
おときた:その通り。だからいまは3人で1人のお年寄りを支えている状態だ。
トキト:うっわー……。これ、もっと負担は増えたりするんですか。
おときた:いずれ2人に1人、1人に1人の時代が来るかもしれない。まあ、国は負担がある一定レベルを超えないと約束しているけど。
トキト:でも、1人に1人とかになったら、いまの3倍必要ってことやろ。さすがにオレらの給料からそんな引かれへんから、足りひんのやない?
おときた:よく気づいたね。そう、もう積立金と若い世代の保険料だけでは間に合わないから、実はここにも税金が投入されているんだ。
ひっち:えーっ! これも税金なの?
(▲まじか・・・と現実に目を瞑るひっち)
おときた:そう。前に見たように税金は将来世代への借金だから、いまの流れのままいけば若い世代どころか、まだ生まれてない子どもたちの負担まで増えていってしまう。
トキト:それじゃ、いまのお年寄りはどれくらいもらってるんですか?
おときた:年金の種類にもよるけど、多いと月に20万円を超えることもあるかな。いまの年金受給世代は、自分が納めた額より数千万円近く多くもらえる計算になっている。
ひっち:ふ、ふざけんなー!
トキト:オレらがもらえるのが払った分以下かもしれへんのに……。
おときた:もともとは「保険」で、払った分が返ってくる制度ではないとはいえ、現状がこれでは不公平感は否めないよね。
●おときた塾の学び
ひっち:そもそも年金って、絶対払わなきゃいけないんですか?
おときた:一応、義務ではあるね。でも、たとえば僕なんかは公的年金のほかに、民間の保険会社で年金をドル建てで積み立てているんだけど、そういうのもアリだね。
トキト:賢い人はもう対策してんのか……。
ひっち:いっそもう、義務にしなくていいんじゃないですか?
おときた:とはいえ、60歳定年で、80歳超が平均寿命というのを考えると、多くの人は20年分の生活費を貯金できないだろうから、そう簡単にはいかないだろうね。
トキト:でも、このままやと年金制度は崩壊しちゃうんでしょ。
おときた:うん、このままではね。
ひっち:どうすればいいんだ……。
トキト:いっそ、崩壊させちゃおう!
おときた:考え方としてはアリだよ(笑)。1人や2人が払わないだけなら捕まえればいいけど、100万人が払わなければ崩壊する。
ひっち:NHKの受信料みたいなものか!
おときた:このままだと若い世代の負担ばかり増えるからね。むしろ、海外では日本の年金制度について、どうして若い世代がこんなに従順なのか、って驚いている。
トキト:単純に、知らないからやろうね。知ってたら許せへんから。
おときた:あとは「うっかり長生き保険」に戻すという方法もある。本来はもらえる人のほうが少ない制度だったのに、みんながもらえると思っているいまが異常とも言えるからね。
ひっち:なんか、先に入ったモン勝ちで、イヤだなあ。こういうの、勧誘されても入っちゃダメなんじゃなかったっけ。
トキト:ネットワークビジネスみたいな?
おときた:昔の言葉でいうと「ねずみ講」だね。ほんとうは、政治家が選挙で高齢者の人気取りばかりせず、もっと早く受給開始年齢を後ろ倒しするべきだった。この矛盾を解消するのがいちばん手っ取り早いだろうね。
トキト:よおおおーし、投票に行こう!
ひっち:トキトが本気になってきた(笑)!
–7限目はここまで。
次週は、14限目[選挙制度]弱小海賊団を救うための究極の選挙活用法をお届けします!
●おときた塾の学び
https://www.amazon.co.jp/dp/4799319191/
6月16日発売! 『ギャル男でもわかる政治の話』
●もくじ
オシャレ男子のためのWEBマガジンMTRL(マテリアル)の人気連載を書籍化!
プレトーク「ギャル男、ブロガー議員に政治を学ぶ?」
第一部 そもそも政治ってなに?篇
1限目[政治とは]「悪魔の実」はなくとも僕たちには選挙権がある
2限目[民主主義]国民的アイドル解散騒動は民主主義?
3限目[憲法]憲法とは「ジャンプ三原則」である!
4限目[議会]政党政治は海賊団のチーム戦である
第ニ部 実際、政治ってどうなってるの?篇
〈ISSUE 1 僕らのお金について〉
5限目[資本主義]モテれば天国、モテなきゃ地獄の資本主義
6限目[財政・税金]のび太が作った世界最大の「借金地獄」
7限目[年金]年金制度はもうすでにオワコンである
〈ISSUE 2 日本〉
8限目[安全保障]憲法9条は「浮気公認状態」、さあどうする?
9限目[エネルギー]エネルギー3姉妹、付き合うなら誰がいい?
10限目[公務員制度]日本の政府がイケてないこれだけの理由
〈ISSUE 3 生活〉
11限目[社会保障]“困ったときのドラえもん”が破産寸前!?
12限目[雇用]もしもあのアイドルに卒業がなかったら
13限目[表現の自由]戦闘モードのベイマックスが表現の自由を奪う!?
第三部 じゃあどうやって変えればいいの?篇
14限目[選挙制度]弱小海賊団を救うための究極の選挙活用法
15限目[社会運動]ルカワ応援隊が意味を持つのはどんなとき?
16限目[政治参加]みんな、このまま政治童貞でいいのかよ!
巻末Q&A「おときたさん、僕らの疑問に答えてください!」
アフタートーク「政治がわかったギャル男の話」
「政治をもっと、おもしろく。──あとがきにかえて」(おときた駿)
ほか、全16篇収録。
おときた駿
1983年9月21日北区王子本町生まれ。いなり幼稚園、北区立王子第二小学校卒の生粋の北区民。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
Twitter:@otokita
■アーカイブ