2015年に活動を開始するやいなや、2016年のSUMMER SONICやMETROCK ZEROに出演を果たし、一躍その名を広めたバンドハラスメント(通称、バンハラ)。かっこいい男でいたいけど、どこか弱くて素直になれない歌詞は、今を生きる男子の姿を映し出しているようにさえ感じます。
今回は、今知っておけばドヤれるアーティストの特別編。1st mini album『エンドロール』を発売し、さらに活躍の幅を広げる彼らのインタビューをお届けします!
▲左から、斉本佳朗(Dr.)、はっこー(Ba.)、井深(Vo.)、ワタさん(Gt.)
――では、まずバンドハラスメントを結成したきっかけについて教えてください。
斉本:僕とはっこー君が小学校からの友達だったんです。小学生の時はそんなにだったんですけど、中学に入ってから毎朝一緒に学校行くくらい仲のいい友達になって。でも、ある理由ではっこー君が不登校になっちゃったので放課後に会うようになったんです。その時に学校でバンドが流行ってたので、「一緒にやろうぜ」って誘ったのがきっかけですね。
高校は2人とも別々だったので、お互いボーカルとギターを探してやろうってことになって。ワタさんは僕が進学した高校で出会いました。「ギター上手い人がいる」って噂を聞いたので、すぐに連絡先を手に入れて電話したんですよ(笑)。そしたら「ライブ見に来て!」って言われたので、はっこー君と二人で行って。ギターを弾いている彼の姿に惚れて、「一緒にやろう」って誘いました。
はっこー:当初はワタさんとバンドをしていたボーカルを加えてバンドを組んだんですけど、何年間か活動したが上手くいかず……。またボーカルを変えては、っていうのを繰り返していました。
そんな時、対バンで井深のいたバンドに出会ったんですよ。井深の声をみんなが気に入っていて、表現者としてすごいなぁと思っていたので引き抜きました(笑)。
――“バンドハラスメント”って奇抜な名前だと思うのですが、バンド名にはどのような由来があるのですか?
斉本:バンドで聴く人の頭の中や心の中を嫌がらせのようにごちゃまぜにしたいという想いがこもってます。キラーチューンってフレージングやメロディーが頭の中でずっとぐるぐる回っちゃうと状態って、ある意味ハラスメントだなぁと。
――エゴサーチが、こんなに捗るバンドってあまりない印象があります(笑)。
斉本:そうですね。ファンの人が僕らの情報とかを探しやすい名前がいいなっていうのはありました。当時はレーベルネームである“SANTA IS PAPA”と“バンドハラスメント”で迷ってたんですけど、「英語じゃなくてカタカナがいいよね」って話もあがったのでバンドハラスメントにしました。
――バンド名を考える段階から、バンドハラスメントの自己プロデュース力の高さがうかがえますよね。
斉本:僕ら最終的には“バンドハラスメント”っていうショーになりたいんですよ。ライブもすごく好きなので、バンドとしてライブを大切にしたいなって思うんですけど、少しづつでもサーカスや劇団四季みたいなプロのエンターテイナーに近づけたらなって…。
でも今はバンドで頑張らないといけない時期なので、ステージに立つ時は面白いやつでいたい。もちろん真面目にもなれるんですけど、ライブの雰囲気が真面目だとつまらないし、それが理由で僕らの音楽を聴いてもらえるチャンスが減っちゃうのはもったいないから。
――今回の1st mini album『エンドロール』ですね。どのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?
斉本:僕が20歳から21歳の間に感じたことをまとめたアルバムですかね。僕たち書き溜めもしないくらい、今のことしか曲にしないんですよ。『エンドロール』に入っている6曲は、僕が20歳から21歳の間に思ったことを書いてます。
映画でもドラマでも物語が終わるとエンドロールが流れてきますよね。僕は自分が1歳から20歳までが第一章だと思っていて、バンドとして意識が変わった瞬間に最初のエンドロールが流れたと思ってます。その時には、それぞれのエンドロールの1番上に自分やメンバーの名前があって自分が主役だったんだなって思えたんですよ。
でも20歳から21歳までの1年間は、自分の名前がどんどんエンドロールの下に行っているように感じた時期でした。「第二章はエンドロールのどこに自分の名前があるかな」と感じた1年間に作った6曲なので、『エンドロール』というアルバムにしました。
――第一章の終わりが20歳だとしたら、第二章の終わりはいつを見据えてますか?
斉本:僕の中では、この道で飯を食っていけるようになるまでですかね。そこに到達すると音楽に対するスタンスとか見え方とか、自分らが音楽をやる意味とか全部変わってくると思うので。
――バンドハラスメントにとって『エンドロール』は、初めて全国のレコードショップで発売されたCDですよね。CDが全国のショップに展開されるによる、心境の変化はありましたか?
斉本:CDをリリースするにあたりレーベルが必要になって、自主レーベルについて具体的に考えるようになったんですよね。そのときに、みんなの心の中で大きな変化があったように思います。変わり方は各々で違うと思うんですけど、向いてる方向はみんな一緒ですね。
ワタ:色々見つめ直す機会が増えたよね。“成長した”という意味より、「もっと俺らってこうならないと、ああならないと」「こうなりたい、ああなりたい」って感じることが増えて。
井深:もう、そればっかりだよね(笑)。まだまだ僕らは自分たちがいいバンドだと思ってなくて。これから「どうやったらなれるか」っていうところを、すごく考えてます。より高いところしか目指してないです。
――より高いところへ向けて、さらにバンドハラスメントとして強くなっていくということですね。
斉本:そうですね。今後のことを考える時間が増えたので、必然的に自分自身を見つめ直す機会も増えました。
今の自分をわかってないと、未来の自分を見れないですし。でも、未来の自分を想像できてないと、今の自分も上手いこと考えられないので。
自分をみつめるってことが人間としては、1番大切なのかなって思います。自分磨きだったり、自分のいいとこ悪いとこを正しく理解することだったり。それは人に聞くんじゃなくて、自分で考えて人の意見はひとつの意見として取り入れる。最終的に決めるのは全部自分だと思ってます。
――先ほど名前があがった“SANATA IS PAPA”は、自主レーベルですよね。CDを発売するにあたり、自主レーベルという形をとったのはなぜでしょうか。
斉本:自分たちの活動の幅を狭めないためですね。やりたいことを実現させるのではなく、やるべきことを考えてやりたいんです、僕たちは。
――“SANTA IS PAPA”というレーベル名には、どんな由来があるのでしょうか?
斉本:幸せな嘘を選ぶよりかは、不幸な本音を選んで伝えたいという意味から“SANTA IS PAPA”になりました。基本的に僕らのスタンスとして「2度ともう絶対に嘘はつかない」っていうのを決めてるんです。
他のバンドやテレビに出ている人のことを悪く言ったりするわけではなく、この世の中には幸せな嘘ってものがたくさんありますよね。それで幸せになる人もいると思うんですけど、僕らはそれが嫌なんですよ。
井深:お客さんと気持ちを分かち合っていきたいんです。一生、一緒になって考えたいし友達レベルの関係になりたい。
斉本:僕らは“バンドハラスメント”っていうショーを目指してるから、最終的にお客さんを幸せにするっていうのは大前提にあります。でもそのショーは単純にお客さんを幸せにするためのショーをしたいわけじゃなくて、一緒に傷つくときは傷ついて、考える時は考えていきたい。絶対に嘘はつかない真実にある幸せで“SANTA IS PAPA”。「お父さんがサンタさん」そのままの意味です。