(ピコーン)
大学1年の秋がスタートした。
後期の目標:彼氏を作ること!
今年の夏前に叶えられなかった目標を秋に・・・そしてクリスマスを一緒に過ごすんだ。
私の名前は、まりん。M山学院文学部の1年生。
高校まではずっと女子高育ち。大学でできた友達には内緒だが、実は恋愛経験がないのだ…。
彼氏GETを夢見て大学に入学したものの、サークルに所属するわけでもなく、友達作りのスタートダッシュに乗り遅れた私は、必然的に男の子との接点も少なく、夢の大学デビューは失敗に終わる。
大学生の夏は、テレビで見ていたキャンパスライフのようにキラキラして、
夏には合宿なんかに行って、
そこで誰かと恋に落ちるのだろうと、女子高出身・少女漫画脳の私は思っていたのに。
これが現実!!
出会いがないならこちらから作るしかない…。
そう思って大学生の間で流行っているという出会い系アプリ、クロスミーを使ってみたものの、そんな簡単に成果なんてでないよね。
「あ〜、どっかにイケメン落ちてないかなー。もしくは拾ってくれないかなー」
『おい』
えっ!? なんかこの人私に向かってなにか怒ってる?
いやいや自意識過剰だ。わたしのキャンパスライフに「男子」の文字は今のところないはず……。
「おい!お前だよ。無視か?」
ご、ごめんなさい! 私が何かしましたっけ!?
「会いに来てやってんだろ?」
えっ・・・この人なに言ってるの?
「俺たちもう20回もすれ違ってんだぜ? おれにメッセージまで送ってきておいてその態度はなんなんだよ」
「プロフィールに”秋こそは恋!”なんて張り切って書いてるから、どんなやつかと思って学校中探しただろ。
てか、俺だって気づかずメッセージ送ってきたのかよ?」
(まさか同じ大学だなんて! それにこんな整った顔の人が身近にいるなんて誰が思うわけ? てか、顔に反して性格! ドSすぎ!!)
「よし、俺に付き合え! いくぞ!」
えっ、痛い。ちょっとどこに行くの!?
——抵抗する隙なく、急に手を引っ張られるまりん。
「りょむ。まーた女の子にちょっかい出してんのか!」
この声は… ?!
去年、1年生ながらミスターコンでM学のグランプリを受賞し、今はモデルとして活躍する学校のアイドル、大輝(だいや)さま…?
遼「んだよ、お前も俺の邪魔が大好きだな」
大輝「りょむがごめんね。こいつ昔から可愛い子見るといじわるしたくなっちゃうんだよ(笑)」
遼「あーあ、萎えてきた。まりん! あとでメッセージ送るからクロスミー見ておけよ!」
大輝「大丈夫だった? …あれ? 俺らどこかで会ったことある?」
い、いや、、、!(照れて話せない)
大輝「だよね、ごめん! じゃあまたね、まりんちゃん!」
・・・・後期開始早々にいきなり2人のイケメンと話してしまうなんて、、、わたしの学校生活どうなっちゃうの〜!?
どうやら、ドS王子の正体は、成績優秀、家は超金持ちのエリート息子、遼と言うらしい。あとでクロスミーのメッセージを見たら私からバッチリ送っていた。
その日の夜、大輝くんからもメッセージが。
大輝「今日はりょむがごめんね。
てか、俺ら何回もすれ違っていたんだね。ようやく会えて嬉しかった。これからよろしくっ」
学校のアイドルとやり取りできちゃうなんて、クロスミー様様様!!!なんですけど!!
——それから5日後。
まりん「あーあ、智子のやつ、待ち合わせ18:00なのに今起きたなんて本当廃人すぎ!
2時間くらいは来ないな、何しよう……」
遊ぶ予定だった友達の寝坊により、まりんは表参道で暇を持て余していた。
すると、見覚えのある顔が・・・!?
遼「お前、こんなところで何してんの? 本当暇な女だな!」
まりん「うっ・・・、暇であることは間違いないけど、今日はたまたまだし」
遼「何でもいいから暇なら俺に付き合え」
まりん「え、ちょちょ、ちょっと!」
相変わらず強引なやつ!
でもあれ以降、クロスミーでやりとりをしてみたけど悪いやつじゃないみたい。
どうせ暇だし、まあいっか。
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まりん「ふふっ、その顔でクレープ食べたいって可愛すぎ」
遼「うるさい黙れ!」
まりん「はいはい、黙りますよー」
実は遼は大の甘党。クレープが食べたいが、男だけだと恥ずかしい、ということだった。
いつの間にか仲良くなっている2人。
まりん「ねえ、SNOW撮ろうよ」
するとそこへ
大輝「あっれー、こんなところで何してるの?」
まりん「大輝くんっ! どうしたの?」
大輝「俺は、そこのサロンで撮影してきた帰り! そしたら見覚えのある2人がいるなーって」
まりん (こんなところで会えるなんて本当ラッキー♡)
学校のアイドル大輝に会えたことに はしゃぐまりん。
まりん「あ、友達来たって! そろそろ行くね。遼、クレープごちそうさま!」
大輝「またメッセ送るね〜!」
遼「・・・お前、どういうつもりなの?」
大輝「どうって、可愛いなって思って。クロスミーきっかけだけど、いい子だし、付き合いたいなって思ってるよ。」
遼「まりんは、俺が先にすれ違って見つけたんだからな。またお前人の女取る気かよ」
——実は中学の頃は仲が良かった2人。しかし、遼の元カノが、大輝にちょっかいを出したのだ。
大輝は拒否したのに、元カノが遼と付き合うと嘘をつき、関係が悪化した過去があるのだ。
大輝「りょむには悪いけど、どう思われようとまりんを狙いにいくよ。手加減はしないから」
ーーそれからしばらく、クロスミーでのやり取りを重ねて、好きなことやモノについて互いにシェアをし合う日々が続く。
まりん 大輝くんは優しいしカッコいいし、遼は怖いけど、ちょっとツンデレで可愛いところあるんだよね。
2人の間で揺れ動くまりん。
——ある放課後。
校内で女の子からラブレターを渡されている遼をまりんは目撃してしまう。
まりん「げっ、あいつモテるんだ……。」
でも、普段は冷たいから「興味ない」くらいであしらうんだろうな。
遼「すごい嬉しいんだけど、俺今好きな子いるんだ。そいつ見てると放っておけなくて。言ってくれてありがとう」
まりん「あいつ、あんな顔するんだ・・・。ってか好きな子って誰!? 仲良い女の子いるように思えなかったけど。」
……ってやばいこっちに来る!
遼「お前、なんでこんなところにいるの?」
まりん「いや、見てないです遼が告られたところなんて見てないです」
遼「見てたんだな?」
まりん「あっ!!」
遼「バカ。本当悪趣味な女だな。まあいいや、あれ、お前のことだから」
まりん「お前のことって何が・・・」
・・・ってえ!? 好きな人が私ってことおおおお!?!?!
突然の出来事に戸惑いながら、ぼーっとするまりん。
パラパラと雑誌をめくると、知っている顔があった。
まりん「あ、大輝くんだ。カッコいいな。こんな人とやりとりしてるなんて嘘みたい。嘘みたいと言えば、さっき遼に告られたことなんだけど。
ん? 別に告られてはないのか!」
大輝「何してるのー?」
まりん「ぎゃ!? 本物!!」
大輝「ぎゃって人のことをおばけみたいに(笑)。あー、俺の載ってる雑誌じゃん! 恥ずかしいから見ないで(笑)」
まりん「大輝くん、すでに有名人なのに恥ずかしいの?」
大輝「慣れたけど、好きな子は別! まりんちゃんに見られるのは恥ずかしいよ!」
まりん「え、好きな子って私のこと!?」
大輝「しかいないでしょ! 俺、まりんちゃんのこと出会ったときからずっと好きだよ? 気づいてなかったの?」
まりん「だって大輝くんは学校のアイドルだし、私なんかにそんな・・・社交辞令かと思ってた」
大輝「はー、凹むわー。本気だよ! 俺はまりんちゃんが好き! さっきりょむに告られたって知ってるけど」
まりん「!?!?!」
大輝「ちょっと考えてみて。俺、この後撮影だから出ちゃうけど、OKだったら20時に東京タワーまで来てよ。デートしよ!」
まりん「えっ、東京タワー!? それって私たちが最初にすれ違った場所」
大輝「正解! さすがまりんちゃん。じゃね!」
今のは現実!? あの大輝くんに告られた?
えっ、てか遼のってやっぱ告白だったの!?
対照的な告白をイケメン2人からされ、もはやどうしたらいいか分からないまりん。
お気に入りのカフェに移動して、とりあえず一休みしていた。
(ピコンっ)
そこに、遼からメッセージが届く。
まりん「ん? 六本木 20時? OK、Google!ってなるか!」
まりん「もー2人とも、本当に勝手なんだから!!」
遼は、初めてすれ違った場所、六本木ヒルズでまりんを待つ。
一方大輝は、東京タワー。
果たしてまりんが選ぶのは!?
遼「来てくれたんだ」
まりん「あんたがGoogle検索したからじゃん」
まりん「ねえ、ちゃんと言ってよ」
遼「はあ?」
遼「俺の彼女にしてやってもいいぜ?」
まりん「お願いします」
大輝「あーあ、りょむのところ行っちゃったか。101回もすれ違ったのにな。」
ーーすれ違いから、あなたの元に恋が訪れるかも?
すれ違いを恋のきかっけにするアプリ「CROSS ME(クロスミー)」
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※ストーリーには一部実際のアプリ仕様とは異なる部分がございます
撮影/テラウチギョウ
モデル/澤村量山(遼役)、伊藤蓮(大輝役)、石井和香(まりん役)