最近よく聞く気がする“梅毒(ばいどく)”。
でも性病って滅多なことが無いとかからないだろうし、自分には関係ないのでは…と思っているそこのアナタ! 昨今“梅毒”の感染者は増えていると語るのは、性感染症専門外来・池袋駅前ライフクリニックの院長。
院長:この数年間で患者数は7~8倍に急増しています。女性専用外来ではありますが、婦人科・池袋クリニックでは、これまで年間1~2名の報告でしたが、年間15名程度にまで増加しました。
ーーそれにはこんな感染経路が考えられるという。
院長:主に性風俗従事者での感染が多く、風俗で遊ぶ男性から一般女性への感染も見られます。自覚症状が出るまで3ヵ月以上かかることもあるので、その間また別の男性に…と連鎖式に感染が広がります。
男子も女子も明日は我が身…。
これは身近な問題として、しっかりと知識を付けておかなければ!
ーーそもそも“梅毒”ってどんな病気なのか?
院長:Treponema Pallidum という菌の感染症で、性行為、もしくはキスも含む類似行為にて感染します。皮膚や粘膜の傷から侵入し、全身に様々な症状を引き起こします。
ーー具体的にはどんな症状?
院長:1期~4期まであり、1期は感染して3週間から3ヵ月。陰部にしこりが出来たり、鼠径部のリンパ説が腫れるなどの症状が出ることも。2期は3ヵ月から3年。赤い発疹が手足から全身に広がり、発熱、倦怠感などの症状がでることも。3期は3~10年。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍が。10年以降の4期では、多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳や神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻で死に至ることもあります。
ーーなんだかとっても恐ろしい病気!
院長:現在では1期~2期で診断されることが多く、3期、4期の状態になることは稀です。特に2期の赤い発疹で気が付く方が多いです。
ちょっとは安心…。とはいえ実際に“梅毒”にかかったらどうなるの? 今回、梅毒感染経験があるMTRL世代の男女にもリアルな話を聞いてみました。
3年前に感染しました。その頃は特定の恋人は作らず、週に1回くらいクラブでナンパしてはセックスをして、という日々を1年くらい続けてました。ちなみに風俗店には人生で一度も行ってません。ナンパセックスの際は、何回かコンドームを付けずにセックスをしたので、恐らくその時の誰かから移ったのだと思います。気が付いたら下腹部に赤い斑点が出来ていました
。怖くなり色々調べたら梅毒かも! と焦りが。急いでクリニックを受診。やっぱり陽性反応だったので塗り薬と飲み薬を処方され、治療しました。
19歳の時に有名大学のイケメンと合コンして、見事お持ち帰られ成功! いざ彼が脱いだら赤い斑点が体にあったけど、「アトピーなのかな?」って全く気にしませんでした。本人も痒いとか痛いとか、いわゆる性病っぽいことは言ってなかったので…。
そこから半年間は何もなく、ある日、体に赤い斑点が出てきて不思議に思いました。でもその時は梅毒だなんて全く思わず。その頃は色んな人とセックスをしていたので、なんとなく無料で尿検査と血液検査が受けられる保健所で検査を受けてみたら梅毒陽性反応が。点滴と薬で2ヵ月治療しました。
今だから言えるけど、梅毒と気が付く半年間の間で20人とはセックスしてました! みんな移してごめんなさい!
これらのエピソードからもわかるように、自分も相手も梅毒と疑わずにセックスして感染を広げてしまうことがほとんど!
ーーそもそも予防法はあるのか?
院長:コンドームで予防は可能ですが、性接触表面上でも感染リスクもあるので、要注意。パートナー同士であれば、あらかじめ感染有無の確認はしておきましょう。不特定多数の方との性行為をする場合、完全に予防するのは難しいと言えます。
ーーでは梅毒かもしれないと気が付いた場合、まずどうすれば?
院長:簡易検査や定期的な血液検査だけでは初期状況を見落としかねないので、怪しいと思ったら必ず診察を受けて下さい。
ーー病院で治療すれば、梅毒は完治する?
院長:完治します。薬を30~60日間服用する治癒になります。早期発見が非常に重要です!
セックスの際にはコンドームを付けることは絶対条件。リスクゼロにはならないが、少しでも自分の身を守ろう。そして少しでも異常を感じたら必ず病院で検査を! 自分の身は自分で守ろう!
(取材協力/池袋駅前ライフクリニック・夏目ミュウ)
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