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【今福歳生・妹尾ユウカが聞く!】マニフェストは固定ツイートで?18歳選挙権と選挙のグレーゾーン

【今福歳生・妹尾ユウカが聞く!】マニフェストは固定ツイートで?18歳選挙権と選挙のグレーゾーン

Views 01 July 2016 (更新日:
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いよいよ7月10日に投開票される参議院選挙。
今回から18歳選挙権が導入されるけど、急に言われても学校で習った訳でもないしどうしたらいいか分からない! というのが本音ではないでしょうか。そして、そもそも選挙自体を遠い存在に感じてないですか?

選挙に行く大切さは『ギャル男でもわかる政治の話』でもチェックしてほしいけど、今回は、選挙プランナーである松田馨さんが、選挙に行くのが楽しくなる裏話を教えてくれました。
出馬するだけで300万円!?   政治家になるのも僕らが思っている以上に大変なんです・・・!

選挙のグレーゾーンって何ですか?

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歳生:選挙プランナーのお仕事ってどんなことをしているんですか?

松田さん(以下、敬称略):簡単に言うと、選挙という期間限定のキャンペーンのマネジメントやPRの企画を考える仕事ですね。

選挙って、いつ行われるかが大体決まっているんです。
例えば今回の参議院選挙は7月10日に行われますので、クライアントから依頼を受けた時点で、スケジュールを逆算し、投開票日までに何をするべきかというスケジュールを立てていきます。
ちなみに、6月22日から7月9日までの18日間は、選挙運動期間と言っていわゆる選挙カーが走り回って外で堂々と「一票お願いします」と言える期間です。

歳生:あ〜! うちの近所にも来ます(笑)。

松田:いまは都内を何十台もの選挙カーが走ってるから、見かける機会も多いかな。実は、選挙運動期間外に「次の参議委員選挙に出るので1票をください」「当選するために応援してください」と言うのは「公職選挙法」という選挙のルールを定めた法律で禁止されているんですよ。

歳生・妹尾:え〜! 知らなかったです。

歳生:でも駅前で演説してる人もいますよね? その期間以外に外で喋っている内容は何についてなんですか?

松田:例えば「私は都議会のおときたです。舛添さんは責任をもって辞任するべきだ」と街頭で演説するとするでしょ? それは問題ないんですよ。
でも、「次の都議会議員選挙で、おときた駿に一票をお願いします」と訴えるのは違反になります。
ざっくり言うと、「立候補するから票を入れてくれ、応援してくれ」っていうのは違反。政策をアピールするのは問題なし。でも、端から見ていたら一緒だよね(苦笑)。

妹尾:なんだか違いがよくわからないですね。

松田:選挙運動と、政治活動といって上記の2つを区分けしているんだけど、その境目がわかりにくいよね。このわかりにくさが、選挙におけるグレーゾーンを生み出してるんだ。

歳生:グレーゾーンって、例えばどんなものがあるんですか?

松田:選挙が近くなると、党首と○○さんが2ショットで写っているポスターが街中に貼りだされるんだけど、見たことない?

歳生・妹尾:あります。あれって何のポスターなんですか?

松田:あれは、政党や政治団体が行う演説会の告知用ポスターなんです。業界用語では、2名とか3名の人が並んで掲載されるので「連名ポスター」と呼んでいます。

選挙が近くなると、立候補を予定している人の活動にはいろんな制限がかかります。例えば、その人が1人で写っているポスターは掲示できなくなる。
しかし選挙で勝つためには絶対的に知名度が大切だから、なんとかしてポスターを掲示したい。そこで考えだされたのが連名ポスター。

歳生:へ〜!  あれって抜け道みたいなものなんですね。

松田:そう。よく見ると、人の名前の横に「弁士」って書いてあるんだけど、あれは「この演説会で弁士として話をする人です」という紹介をしているものですよ、というアリバイみたいなもので、他にもグレーゾーンを踏み越えないために、連名ポスターには実は細かいポイントがあります。本当は、1人だけ写真が大きかったり、演説会の告知内容や主催団体の記載が小さいものは違反に問われる可能性が高いんだけど、詳しいルールを知らずに形だけ真似してうっかり「違反」をしている陣営は意外と多いんです。

そうした知らないうちの違反をしないように、コンプライアンスを徹底するのも選挙プランナーの仕事です。

選挙に出るだけで300万円以上かかる!?

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妹尾:選挙ってお金がなければ出られないんですよね? どれくらいかかるんですか?

松田:そうなんだよね。その前に、7月10日の参議院議員選挙では、1人2枚投票できるの知ってた?

歳生:選挙区と比例代表で2枚!

松田:そうそう。1枚目が自分の住んでいる都道府県単位の選挙区に立候補している人への1票。2枚目はちょっとややこしいんだけど、政党の名前を書いてもいいし、個人名を書いてもいいというもの。
両方同時に出ることはできないんだけど、前者は300万円、後者は600万円の供託金(エントリー代)が必要になります。

歳生:高っけ〜! 選挙に出るだけでそんなにかかるなんて。でも、そこからさらにポスターを刷るとか選挙カーを借りる→走らせる、人を動かすとかそういう別コストがかかってくるんですよね? そこの上限は決まってないんですか?

松田:選挙運動費用の上限は決まってます。
ただ選挙期間の前、例えばさっきの連名ポスターなんかは選挙運動費用には入らないし、選挙が始まるまえにチラシを配ったりノボリ作ったりする費用もかかる。こうした政治活動のための費用には制限がないんです。
だから、実際はお金を持っている人が有利であることが事実。

公職選挙法では、お金がない人でも公平に選挙をたたかえるように、色々な制限はかけています。でも、そもそも供託金がとにかく高いっていうところで、個人的には矛盾してるように思う。

先進国では供託金がない国が多いし、イギリスなんかでも10万円くらい。日本がやたらと高い供託金なのは、ふざけ半分や売名行為で活動するのを抑制するためと言われているんだけど、でも東京都知事選挙でいうなら16人とか出馬しているの知ってた?

妹尾:マック赤坂さんとか、ドクター中松さんとか、色んな人が出てますよね。ちょっとふざけている印象ですけど・・・。

松田:そうだね(苦笑) 。都知事選挙の供託金は300万円なんだけど、投票された有効投票全体の10分の1の票を取れば落選しても返ってくる。例えば全体で500万票だとしたら、50万票とれば供託金はかえってくる。でも、こうした一定の票を取れないと、国庫に返納といって国に没収されてしまうので、何回も落選している人はすごく税金を納めてることになります(笑)。

歳生:すごいっす(笑)。

松田:でも、その供託金って政党に所属していれば、政党が用意するんだよね。
衆議院とか参議院の比例代表選挙だと、供託金が600万円もかかるから、10人出馬する人がいるだけで6000万だよ…? 立候補させるだけで!
小さな政党は候補立てるのも一苦労だから、大きな政党がより強くなっている側面はあるね。

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妹尾
:やっぱりお金がかかるんですね。立候補できるのって25歳からですか?

松田:参議院選挙と知事選挙は30歳からで、あとは25歳ですね。

歳生:若い人が出馬するためには相当頑張ってお金貯めないといけないですね。

松田:これは選挙の規模によって違うんだけど、区議会議員の選挙なら供託金は30万円だし、自己資金50万円とかで当選している人もいるよ。お金だけで当落が決まるわけではなく、大切なのは候補者の魅力だよね。

マニフェストは、固定ツイートしてほしい

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歳生:18歳選挙権が今回の選挙からできましたが、もっと若い人向けにインターネットを上手く使用した政治活動ってできるようにならないんですか?

松田:信じられないことに、2013年まで選挙期間中はネットを使っちゃダメだったんだよね。

歳生:ええ〜! ネット使えなかったら、ヤバかったですね。僕らは何を見たらいいか分からないですもん(笑)。

松田:そうだよね(笑)。 今は政治家のHPへのアクセスは、6割以上がスマホから見られているような時代だから、もっとネットの活用を考えていかないと若い人には届かないと思う。

ただ、これまでネットを使わずに当選してきた人の中には、ネットで発信しても意味ないんじゃないか? というすごく消極的な人もいたりして。

妹尾:古いやり方で勝てるならそれでいいってことですか?

松田:そうだね。あとは実際、政党も候補者も18歳や19歳に対してどういう風にリーチしたらいいのか分からないんだよね(苦笑)。

歳生:えーと、松田さんとりあえずスナップチャットのやり方教えてあげてください!

松田:いきなりめっちゃカジュアルになるね(笑)。

妹尾:実際に今回の選挙で18歳向けに何か変わったと思う点はありますか?

松田:今回は各党、奨学金の制度について力をいれているかな。例えば「給付型奨学金」といって、返済をしなくてもいいタイプの奨学金をつくるとかね。教育関係で18歳19歳を意識した政策をマニフェストに入れたりいれたり、少しずつ変化があるように感じています。

歳生:でもいきなり18歳に選挙行けって言われてもできないんですよね〜。ぶっちゃけ、僕らのまわりでも「わかんないから親が入れる人に投票する」ってやつ、けっこういます。

松田:なるほど、そうなるのか(苦笑)。たしかに今まで何にも教わってないのに、いきなり投票できますって言われても困るよね。
でも、そこは逆に開き直って、「分かんないけど、とりあえず行って投票してみよう」となってほしいな。投票に正解はないから、あまり難しく考えずに、自分の直感で決めたらいいよ。
それを1回で終わりにしないで、2回3回いって欲しい。
投票した人の活動を見て、それで次の選挙の時応援するのかしないのか決めたり。その時は何も分からなくて、親と一緒に行ったとしても、「今回私はこの人に入れよう」となってくれればいいなって。

歳生:1回だけじゃなくて、回数を重ねていけば自分も見えてきますよね。

松田:そうそう! 自分が投票した人がどんな活動しているのか気になるじゃん。逆に不祥事起こされると腹が立つし、活躍してくれると嬉しいし。
だから親と一緒の人に入れてもいいと思うけど、親がなぜその人へ投票するのか聞いてほしいし、自分が誰に入れていたか覚えておいてくれると嬉しいな。

歳生:でも投票って候補者が掲げているマニフェストを聞いてどこに票を入れるか決めると思うんですけど、街頭演説とかで言ってることが分からなさすぎて、足を止めようと思えないんですよ。
AKBの総選挙くらいのやつだと分かりやすいのに。

妹尾:マニフェストって、書いてあることの語尾がすごいズルいじゃないですか。「やります」じゃなくて「できるようにします」とか・・・。

松田:するどい! そうなんだよね。「検討します」「取り組みます」とか、断言してないんだよなぁ(笑)

妹尾:そうなんです! だから「これやります!できなかったら車売っちゃいます!」とか、それくらい言い切ってほしいんですよね。

歳生:言い切ってくれたら信頼できます。

松田:なるほど!

歳生:あとは分かりやすくするためにTwitterの固定ツイートにマニフェストを箇条書きで書いておいてほしい。

妹尾:それをさらにNEVERでまとめて見れるようにしてほしいです!

歳生:あー、それいい! まとめサイトとかで一気にツイッターくらいの長さのものでマニフェストを見れたらめっちゃ楽だし分かりやすいです。

松田:まとめと言い切りかぁ。とっても参考になります。さっそく使わせてもらおう(笑)、ありがとう。

言い切り関して政治家の立場から言うと、できなかったときにマスコミの追求が激しかったり、敵対する陣営から揚げ足取りみたいな感じで責められるから、当選したあとのことを考えて、言い切らない人は多いかな。
あとは、民主党政権のときに「高速道路無料化」とか、耳障りのいいことをマニフェストに掲げたけど達成できなかった過去も影響していると思う。でも、そうやってビビってるのを若い人たちには見ぬかれてしまっているわけだ。

歳生:だって言い切ってくれないと投票できないっすよね。
やってくれるかやってくれないか曖昧な人に票を入れる意味が分からない。言い切ったことを頑張るのが政治家なんですよね?

松田:その通りだね。僕からも政治家に言いますよ。若い人たちに信頼されたかったら言い切れ!って。今日は僕のほうがとっても勉強になりました。歳生さん、妹尾さん、ありがとう。

 

 

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松田 馨(まつだ・かおる)

1980年生まれ。広島県出身。大学卒業後、大学の広報課へ就職。母校の教授が選挙へ出馬し、それを手伝ったことがキッカケで日本で最年少の選挙プランナーの道へ。
2008年の選挙コンサルティング専門会社の株式会社ダイアログを設立。
昨年度からは選挙ドットコムの取締役CCOにも就任した。
ネット選挙に精通した選挙のプロとして、政治家からでなくメディアからも多くのラブコールがかかる

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