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特集:【鈴掛 真インタビュー前編】「カミングアウトはコミュニティを脱してようやくできた」#LGBT

特集:【鈴掛 真インタビュー前編】「カミングアウトはコミュニティを脱してようやくできた」#LGBT

Views 10 October 2015 (更新日:
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LGBTという言葉を聞いたことがありますか?

LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの4つの言葉の頭文字を合せている言葉で、20人に1人いると言われているんだ。

明日10月11日〝カミングアウトデー″ということで、MTRLは現在、自らがゲイであるというセクシュアリティ(性のあり方)をオープンにし、歌人として活動されている鈴掛 真(すずかけ しん)さんにLGBTのこと、カミングアウトのことについてインタビューに行ってきました!

鈴掛さんは毎日Twitterで短歌を更新しているMTRL読者にとっても身近な存在。今日この言葉を初めて知った人も、ゲイやレズというセクシュアリティくらいは聞いたことあったかな? まずは知るという一歩を踏み出し始めた君に読んでみてほしい! 少しだけ長いけど、大切なこと。

実はミュージシャンになりたかった⁉ 気まぐれで始めた短歌が職業に

MTRL編集部(以下M):そもそも短歌は、どういうきっかけで始められたんですか?

鈴掛 真(以下 鈴掛):最初は、ほんの思いつきでした。本当はミュージシャンになりたかったんです。10歳くらいからピアノを始めて、作曲もしていたので、自分はその道に進むと思っていたんですが、大学生の時に「あ、才能ないかも」と思ってピアノも音楽も一切辞めてみたんです。

それで、他に何ができるか考えた時に、文章が書けるかも!と。当時はmixiが流行っていてみんな気軽にやっていたので、僕もこっそりと毎日のことを書いていたら、それを色々な人たちが見てくれていて。もしかして文章書くのが好きなのかもしれない、って思っているときに、友達が「絶対気に入るよ」って短歌の本をプレゼントしてくれたんですよね。

M:それが短歌に触れるキッカケだったんですね。

鈴掛:はい。その天野慶さんという方の短歌は、僕みたいに短歌に興味がなかった人でもスッと入っていける作風で、僕もこういうの書きたいって思いました。音楽で歌詞を書くっていうのと短歌は意外と似ている部分があって。文字制限もそうだし、リズム、音程とか。自分のつくったメロディに対して歌詞を書くっていうのと似ているから、できるかも?って思って始めたんですよね。

M:それが今仕事になっていると。素晴らしいですね!

鈴掛:そうです。なので、好きで続けていたらこうなったって感じです。

M:今ってTwitterで短歌を毎日更新しているじゃないですか? SNSでそういう文学的なことに触れられるのって、すごく若い子向けだなって思ったんですよね。それを見て、これはMTRL読者に伝わるものがあるんじゃないかな!と思いました。

短歌の内容は、恋愛系が多いですか?

鈴掛:意識はしてないですが、恋愛のことを考えるときは自然と言葉がでてくるっていうのと、いつの時代もラブソングは共感を得られると思うので、ポップスとしての短歌をやっていくにはいいんじゃないかと。狙ったわけではなくて自然とそうなった感じですけどね。

好きになった男の子と仲良くなりたくてコンタクトデビュー!

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M:最初に自分のセクシュアリティを自覚したのはいつですか?

鈴掛:自覚はものすごく早かったんですけど、幼稚園ですね。

M:幼稚園⁉ 幼稚園っていうとあんまり恋愛をしないイメージがありますが。

鈴掛:なんか察しがすごく早くて。僕の通っていたところには男の先生がいて、女性の先生より好きで。それで、他の子はこういう風に思わない気がするなって、漠然とですが思ってましたね。それを悩んでいたのはすごく覚えています。みんなと違うかもしれないっていう違和感と、このことは誰にも言ってはいけない気がするって思って、家族にも言わずひっそりと自分の中で消化していました。

M:大きくなるにつれ変化はでてきましたか?

鈴掛:具体的になったのは、中1のときに初恋をしたことです。これが恋愛感情か!って、もやっとしていたものがハッキリしました。

M:その恋に対して自分で何かアクションはされましたか?

鈴掛:意外とアクティブだったんですよね。好きになった相手は、ちょっとイケてる感じの子で、体格も大人っぽいしカッコよくて。仲良くなりたいけど、自分は身長も低いし体格も小さかったし、黒ブチメガネをかけて内気な性格で。小学校が違ったし、全6クラス中、端と端で接点もないので近づこうにもどうしよう?みたいな。

でも、こんな自分では友達になってくれないだろうなと思って、中1で「コンタクト買ってほしい」って親に頼んでメガネを外し、ちょっと自分磨きというか、ちょっとずつイケてる人になるにはどうしたらいいかって研究をしていました(笑)。最終的には、相手が「一緒の高校行こうよ」って言ってくれるくらい仲良くなりました。

M:すごく前向きで、いい初恋ですね。恋をして自分も高められるってすごくいいカタチだなって思います。

鈴掛:そうですね。でもストレートの男の子と仲良くなる弊害として、好きな女の子の話とかされるんですよね。そうすると傷つくんですけど、それはしょうがないなって思って耐えてました。

カミングアウトはコミュニティを脱してようやくできた

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M:最初にセクシュアリティを相談した人っていますか?

鈴掛:中学校で仲が良かった女の子2人です。卒業してすぐの春休みに初めてカミングアウトしました。みんな高校がバラバラになってしまったのですが、中学校卒業してからも本当に友達って呼べるような子たちだなと思っていたから、自分はゲイなんだよねって。

M:2人はどんな感じでした?

鈴掛:すごくびっくりしてました。今よりLGBTに触れ合う機会もなくクローズな環境だったので。田舎だし、女の子らしく、男の子らしくっていうジェンダーの意識が強かったので、僕みたいに運動もできなくて、ひょろい子はどちらにも当てはまっていなかったから、そもそも変人扱いはされていたんですけどね。それでも仲良くしてくれる女の子たちだったから、打ち明けて。自分のセクシュアリティに疑問をもつこと自体みんな普通は無いだろうから、相当驚いていたけど、未だに仲いいですよ。

M:素敵ですね。でもなんで春休みだったんですか?

鈴掛:やっぱり、コミュニティっていうのはすごく恐ろしいもので、中学校の中では言えなかったし、お互い違う高校になるっていうのも強かったかなと思ってます。

M:もしも、カミングアウトすることで拒否されたとしても、会うことないですもんね。

鈴掛:そうですね。その覚悟もあったけど、でも2人だったらきっと伝えても大丈夫っていう自信はありました。それくらい本当に仲良かったし、大人になってからも友達でいられる子達だなって思ったので。

M:それ以降のカミングアウトをした機会はいつですか?

鈴掛:すごく後です。高校時代もいい仲間ができたんですが、当時は言えなくて。社会人になってから、担任だった先生が定年退職されるときのパーティーで集まったときに、あー、この子達やっぱ言えるなぁって思ってその場で言いました (笑)。言うの今かもって思って。

隠していたときは、友達なのに正直になれてないっていう負い目もやっぱりちょっとあったし、僕の場合はセクシュアリティをオープンにしたほうがストレスが無いので、そこは言ってよかったなと思います。でも、一部の子だけにカミングアウトしてた時期と、完全オープンになった今とでは全然自分が違いますね。本当に人間が違うくらい価値観も違うし、性格も違う気がします。

M:完全にオープンにするようになったのはいつ頃ですか?

鈴掛:ここ3年くらいですね。本を出すときに恋愛の短歌を書いていたので、「セクシュアリティをオープンにしなければいけないね」って出版社の方に言われて。実際はクローズ(カミングアウトをしない生き方)にもできたとは思いますが、王子様チックに活動して女の子たちからキャーキャー言われることを想像してみたら、それは耐えられない!って(笑)。それに、会社を辞めたてで結構ギラギラしていて、オープンにしてやってやろう!っていう気にはなっていたので。

でも東京だからできたのもありますね。いろんな仕事やいろんな地方の人がいるし、みんな違っていいじゃんっていう街だから。今本当にコミュニティっていうところに、いい意味で属してないんですよね。一人暮らしだし。それができているから、カミングアウトできるっていうのはありますね。

 

 

インタビュー後編はコチラ!
【鈴掛 真インタビュー後編】“普通”を当たり前に認識すればLGBTという言葉はなくなる

 

 

■Profile
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鈴掛 真(すずかけ しん)/歌人・小説家

1986年2月28日生。愛知県春日井市出身、東京都在住。短歌結社「短歌人」所属。大学卒業後、広告会社でコピーライターとして勤務。東京で社会人生活をスタートさせるも、3年で退職し作家業への道へ進む。「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」をセオリーに執筆。現在、月刊雑誌『Tokyo graffiti(東京グラフィティ)』にて「鈴掛真の恋の歌」連載中。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

公式HP:http://suzukakeshin.com
Twitter:@suzukakeshin

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