今回は黒歴史というほどでもないんだけど、軽めの失敗談を紹介するよ。
先輩と飲みにいくとき、どんな態度をとってる?
目上の人への敬意を表現するため、必ず下座に座り、料理をとりわけ、ビールを注ぐ人っているよね。
それって仕事をくれる人と営業担当者みたいなガチガチの上下関係がある時は正しいというか、まあ仕方ない身につけておくべき作法なんだけど。業界のちょっとしたセンパイ。くらいの相手だったら、もうちょっと素を出してもいいんじゃないかなと思う。
昔、起業して成功した人に晩メシをご馳走になったとき、僕にとっては憧れの相手だったから萎縮して丁寧に接しすぎてしまったんだよね。
「お若いころはどう過ごしていらっしゃったんですか?」
「いま注目なさっている方はどなたですか?」
「次のお飲み物はどうなさいますか?」
「タクシーお停めします。ご自宅はどちらですか?」
自分でいうのもなんだけど、気配りとか敬語とか、カンペキだったと思うよ。
でも冷静になってみると店員かよ! って感じだよね。
年齢の高い人ほど、仕事で成功している人ほど、こうやって丁寧に接されることは慣れているから、「ただの几帳面な若者」と認識されて、没個性なやつとしてほとんど忘れられてしまう。
残念ながらこの人とは、そのあとも特別に連絡を取り合ったり食事をする関係は築けなかった。
ところで、別の飲み会で、不動産会社の社長さんと知り合った。
ぼくはベロンベロンに酔っぱらって、なにかの間違いで高いワインを勝手に頼んでしまった。
そのとき社長は(なんだこいつ…初対面で遠慮なくこんな酒飲みやがって…)と内心お怒りだったらしい。
そんなことに気づかず、
「じゃあ妻が待ってるんで帰ります〜」
といつも通り一人で店を出る僕。
出がけにこっそり会計を払っていった。しめて24万。泣いた。西麻布のバーなんてもう二度と行かないと誓った。世界中の『オーパスワン』のビンを叩き割ってやろうと誓った。
でも、「えっ、アイツ自分で払っていったの!?」と驚かれ、後日共通の知人を通してLINEをいただくことができたのだ。
「年上を差し置いて会計して帰るなんてダメだよ。次は僕がご馳走するので、また会いましょう」
少なくともちょっと変わったヤツだと思っていただけたようだった。
それからもこの社長さんとは定期的に食事をし、仕事についてたくさん教えていただける関係になれた。メシや飲みも100万以上はご馳走になっているのではないだろうか…。
まったく計算したわけではないし、マネしろとも言わないけど、下手に慇懃丁寧な態度で忘れられるよりも、ちょっとナマイキだったり失礼だろうと、素のまま臨んで自分を見せていったほうがいいことは間違いない。
その結果、相手が受け入れてくれなかったら相性の問題だし、ほんのちょっと失礼なことがあったくらいで激おこぷんぷん丸するヤツなんて器小さいんだから、相手する必要ナシ。
表面的な礼儀作法を覚えるよりも、素の自分を伝えたほうが信頼関係が築ける。
そして、素の自分を見せても恥ずかしくないよう、自分を磨く努力をすること。
名刺の渡し方とか、車の上座の位置を勉強するよりも、それが努力すべき本質的な方向だよね。
■アーカイブ
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.1:https://mtrl.tokyo/column/1671
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.2:https://mtrl.tokyo/column/1677
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.3:https://mtrl.tokyo/column/3557
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.4:https://mtrl.tokyo/column/3873
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.5:https://mtrl.tokyo/column/5239
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.6:https://mtrl.tokyo/column/5847
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.7:https://mtrl.tokyo/column/6564
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.8:https://mtrl.tokyo/column/7381
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.9:https://mtrl.tokyo/column/8110
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.10 最終回:https://mtrl.tokyo/column/8110
■ライタープロフィール
世界一の男性美容会社へ。
1989年2月20日、東京生まれ仙台育ち。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー、飲食店の創業を経てすべて円満に退職し、化粧品事業に専念。2013年4月2日、BULK HOMMEをスタート。
twitter : https://twitter.com/nogutaku