どんなにうまくいっているように見える人でも、掘り返されたくない過去の恥ずかしいエピソードはあるよね。
それは日常のささいなことであったり、人に話せない恋愛の失敗であったり、仕事で大変なミスを犯してしまったことであったりするのかもしれない。
僕は高校生のときがんばって勉強して、大学に合格した。
親は高卒だったから、ものすごく喜んでくれた。なんかお祝いに買ってやると言われた。ハンパじゃない喜びようだったので、多少ムチャなこと言っても通るかな? と思って答えた。
「クルマ。JEEPのチェロキー」
親も自分から言い出したことだからか、なんか知らないけど本当に買ってくれたんだ。ラッキー。
ついでに私立の大学だから安っぽい格好してるとナメられるんだよとかわけのわからない弁明をしながら、ブランドの服も相当買わせた。
僕は見るからに高そうな服を着て外車を乗り回す大学一年生だった。
それでもって肝心の大学生活。期待していたほど友達ができないし講義は退屈だし、一年生の夏で僕は大学を辞めて起業することを決めた。
ホームページ作成しますよてな具合に営業するわけなんだけど、その時の自分の事を思い出すと本当に恥ずかしい。
JEEPに乗った18歳の男がいきなりやってきて、
「起業しました。仕事ください。がんばります」
って。
ぶっ飛ばすぞこの野郎!
いま目の前にそんなヤツがいたら、心から死ねと言い放つ心構えです。
完全に調子に乗っていた。
なんだか、わけもわからず、天下を取れるようになっていた。
でも、それって結局エゴでしかないんだよ。
ストイックに節制しながら、少しずつ認めてもらうようがんばるしかなく、調子に乗っている感じを出したらデメリットしかないんだ。
まあそういう自分のことを客観視できない有頂天クソ野郎だったので、満足に仕事も入らず会社はすぐ離散。
いろんな人に迷惑をかけてしまった…。
その時の自分は言い訳のしようもないバカだけど、実際のところ、今となってはこうして人に話せるくらい自分が成長している証でもあるんだ。
というのは、自分が本気でやった行動を、本気で反省したときにしたときにしか「恥ずかしい」という感情はわいてこないから。
斜に構えた態度だったり、「あの時は本気じゃなかったから」と言い訳できるような行動は、あとから反省するのもとても難しい。
「本当にこれが正しいと思っていたのに……」
と頭を抱えるような反省ほど、自分を成長させてくれるものなんだ。だから、振り返ってみて恥ずかしい思い出があるというのは、むしろいいことなんだよ。
本気でそう思っているから、いまの自分が黒歴史だったと思えるほど成長した未来を生きたいんだ。
■アーカイブ
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.1:https://mtrl.tokyo/column/1671
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.2:https://mtrl.tokyo/column/1677
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.3:https://mtrl.tokyo/column/3557
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.4:https://mtrl.tokyo/column/3873
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.5:https://mtrl.tokyo/column/5239
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.6:https://mtrl.tokyo/column/5847
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.7:https://mtrl.tokyo/column/6564
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.8:https://mtrl.tokyo/column/7381
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.9:https://mtrl.tokyo/column/8110
【野口卓也 連載】黒歴史のつくりかた vol.10 最終回:https://mtrl.tokyo/column/8110
■ライタープロフィール
世界一の男性美容会社へ。
1989年2月20日、東京生まれ仙台育ち。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー、飲食店の創業を経てすべて円満に退職し、化粧品事業に専念。2013年4月2日、BULK HOMMEをスタート。
twitter : https://twitter.com/nogutaku