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カツセマサヒコになりすましカツセマサヒコを電マとして使う

カツセマサヒコになりすましカツセマサヒコを電マとして使う

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由々しき事態である。由々しきを使ってみたかっただけである。

カツセという男

どうも、サカイエヒタです。
みなさんはカツセマサヒコをご存知であろうか。Twitter界で「タイムラインの王子さま」などと呼ばれている、2011年風に言えば「アルファツイッタラー」のひとりだ。

katsuse

そのイケメンアイコンから放たれるつぶやきに、女子フォロワーたちはメロメロなのだそうだ。カツセは編集者であり、カツセは一児の父でもある。以前カツセと会った際、彼は別れ際に「これから友人たちと朝日を見に、海に行ってきます」と恵比寿駅の階段を上りながら言っていた。とんでもない男だと思った。私はTwitterで素敵なポエムをつぶやいたあとは、決まってXVIDEOSを開いていたものだ。

カツセは、なぜか私を「師匠」と呼び、「僕がカタカナで活動するのはエヒタさんを尊敬してのことです」と気持ちの悪いことを言う。事実、私のつぶやきにいち早くふぁぼをつけてくるのはカツセであり、彼は将来の不安をFacebookのメッセージで吐露してきたりもした。(TwitterのDMではないところがマジ感強め)

そんなおぞましくもかわいい弟子が本格的にかわいくなくなったのは、私のフォロワー数を上回り、こざかしい女子受けするつぶやきを身につけた頃だ。私もかつてはそのような湿ったつぶやきを多用し、承認欲求を満たしては勃起していた。同族嫌悪。私は怖かった。己がTwitterにとって不必要な存在となり、次の場へ移らなければならない現実と向き合うのが怖かった。(まだオトナになりたくない!)

そして事実、カツセはすでに私には手のつけられないモンスターと化していたのだ。屈託のない笑顔のカツセは、親指ひとつ(もしくはチンポひとつ)で私のアカウントなど凍結に持ち込める。そう気付いたとき、私は悲鳴をあげながらカツセをミュートした。

カツセの弊害

カツセの爽やかアイコンがTLに現れなくなったものの、カツセの噂は至るところで耳に入る。広告代理店との打ち合わせでは「カツセさんに依頼できないですかね」。インターンの大学生からは「カツセさんみたいになりたいす!」。行きずりの抱いた女は「カツセくんの、まるでジェットコースターみたいだったわ」。 そう。カツセは画面の中だけの人間ではなくなっていた。カツセが私の生活に侵食してくる。

そんな折、私も企画会議に参加しているこの「MTRL」の編集長佐野氏から「カツセくんがエヒタさんのオモチャにされたいって言ってましたよ」と伝言を渡された。
なんともいけ好かぬ話である。しかしこれは私にとって好都合な展開でもあった。復讐。復讐だ。

こうして私はいま、この文章を書いている。カツセをオモチャにしても良い権利を手に入れたからだ。これは彼が勤めるプレスラボの梅田社長も持っていない権利である。

カツセへの復讐

前置きが長くなったのは私とカツセマサヒコの関係性を読者のみなさまに明らかにしたかったからだ。これを我々は「文脈」と呼ぶ。「なんなのコイツ!カツセさんかわいそう!みんなで凍結しよう!」はできるだけ避けたい。名もないライターが急に人気者に絡み出したと思われたくない。私は傷つきやすい、貧乳好きの、繊細な人間である。

私は、忌まわしきカツセになろうと思った。カツセの代わりに私がカツセとしてつぶやこうと。カツセをトレスし、カツセになりすまし、カツセというフィルターを通しつぶやき、カツセをフォローしている女子たちに「やっぱりカツセさん素敵ね抱いて」と言わせることでカツセという虚像を暴いてやろう。君たちがカツセだと思い心の股を開いた相手はカツセの皮を被った34歳のおじさんだ。カツセマサヒコには今回、私の電マとなってもらう。そういう類のAV企画は嫌いじゃない。

「カツセになりたい」そう彼に伝えると「いいですね!」と返事があった。その余裕が腹立たしい。

denma

カツセになりきる

まずはカツセの最近のつぶやきを研究する。10代女子のトレンドをリサーチするマーケッターさながらだ。彼の独特な文法、定番の妄想、さりげない肩透かし感、突っ込みどころ、多少のエロ、そして重要なイケメン要素。

さまざまな媒体でゴーストライターとして活動した経験が活きる。私はときに30代主婦であり、ときに偉そうな家電マニアであり、ときに1000人を束ねる経営者であった。その経験がいま、カツセのゴーストとして活きている。ふざけんな。

5本のツイートを用意し、カツセに送った。カツセにツイートしてもらう。果たして「これはカツセさんじゃない!」と気付くフォロワーはいるのだろうか。今回はつぶやきから半日ほど経ってから計測。拡散よりフォロワーの純粋な「愛」を測るため、ふぁぼをカウントする。ちなみにカツセのここ数日の平均ふぁぼ数は672だ。この数を超えたツイートは「カツセを凌駕した」「君こそが真のカツセだ」「カツセなんてもう要らない」と言えるだろう。
それでは早速結果を見てみよう。(記事内の数字は6/16現在を記述)

サカイ版カツセのつぶやき

まずはカツセ感強めの妄想系つぶやき。文末は中途半端に終えるのがポイント。スタートからなかなかの反応ではあるものの、その数583ふぁぼ。惜しいが本家には及ばない。

続いてはエロかつファニーなかわいい系のつぶやき。こういったつぶやきにはフォロワーの「まったくもうカツセさんたら(好き)」という声がふぁぼに現れる。 しかしどことなく私の癖を入れ込んでしまった作品である。事情を知る友人からは「これはまんまサカイの文章だ。お前やっぱキモい」と注意を受けた。そのせいか、415ふぁぼと、先ほどより数字が落ちた。

ここらで意識高い自己啓発系ツイートを挟む。当たり前のことをまわりくどく言う。なにかを言っているようで実は言っていないつぶやきはみな自分ごとに捉えられるため伸びやすい。445ふぁぼ。

先ほどの「わんぱく」ツイートの反省を含め、サカイ感を極力殺した。カツセの意見も取り入れ、「下ネタで落とさず恋する乙女ならついついRTしてしまう系ツイート」を意識し作った。また、投稿は夜の22時とユーザがアクティブかつ恋しちゃってるタイムを狙う。このツイートは狙い通りRTされ、ふぁぼ数は今回はじめての1,000オーバー。ここに来て怒涛の1,809ふぁぼで本家平均を上回る。

先ほどの純粋系恋愛ツイートを放したのちにこういったシンプルエロツイートをかますのはカツセメソッドの基本中の基本。緊張と緩和はふぁぼ数を増やす。2つセットでのふぁぼはフォロワーからカツセへ「わかってますよ」的メッセージを投げることが可能なのだ。こちらはおまけ的な意味合いで378ふぁぼだった。

結果、5本のつぶやきのうち1本のみが本家の平均ふぁぼ数を超えた。なかなか難しい。しかし純粋系恋愛ツイートが伸びを見せ、サカイ版カツセの平均ふぁぼ数は709ふぁぼ。わーはは!なんだなんだカツセのフォロワーも大したことないな!君らはカツセの何を見てきたんだ!俺の溢れるカツセ愛に勝てるとでも思ったか!

満足ののち、圧倒的な虚しさが襲う。これはあれだ、マジで電マを使った後のあの虚無感だ。結局私はカツセになったところで、私が評価されているわけではない。なにも得をしていない。得どころか、ますます新たなジャンルのカツセファンを増やした可能性がある。事実、昨日から今日の時点でカツセのフォロワーは280人増えている。ふざけんな。

しかし今回の企画でカツセと「これどう思う?」「これは1000オーバー間違いないです!」「ほ、ほんと?いけるかな」「僕超スキですこれ!」「うれしいなあ、うれしいよ〜」などと気持ちの悪い会話ができたのはなかなか楽しかった。

◼︎まとめ

カツセというフィルターを通し、私はカツセになれた。しかしそれはカツセというフィルターがあってのことだ。彼がこうしてカツセという人格を作りここまで浸透させることができたのは、彼に魅力があり、カツセを求める人々が世にたくさんいたからだろう。神の姿を借りたところで、神にはなれない。神になるには、己が神にならなければなれないのである。

人間34年も生きれば、いい話感を醸し出して結ぶことができる。
(この企画気に入ったので、今度は燃え殻さんあたりに打診しよう)

ライタープロフィール

サカイエヒタ Concent代表
sakai_s

Concentという小さな編集プロダクションを営みながら日々丁寧に寝坊しています
Twitter:@_ehita_

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